2014年9月オープンの「カプセルホテルSLEEPS北千住」
近年、カプセルホテルは「単に眠れるスペースがあるだけ」という“安かろう悪かろう”の宿泊形態から、広々スペースやアメニティの充実、女性も安心して泊まれる専用フロアの設置まで、大きな進化を遂げている。
「365日365ホテル 上」(マガジンハウス)の著者で、国内700軒以上のホテルを利用してきたホテル評論家の瀧澤信秋氏が、驚くべきカプセルホテルの実態をレポートする。
* * *
2014年365日365ホテルへチェックインするミッションを続ける中で、東京にあるすべてのカプセルホテルへもチェックインしたが、その進化に驚かされた。
カプセルホテルといえば終電に乗り遅れたサラリーマンが仕方なく利用するといったイメージだったが、最近はちょっと違う。いまカプセルホテルで注目なのが「女性専用」。
女性専用フロアはもはや常識、中には女性専用エレベーターまで設置する施設もある。利用者目線を貫いた結果ともいえるが、かように女性専用スペースを設けるカプセルホテルには進化系が多い。
例えば、羽田や秋葉原、大阪、福岡などにも展開する「ファーストキャビン」は女性専用フロアはもちろん、女性専用エレベーターまで設置する施設だが、カプセルホテルのイメージとは全く異なる「キャビン」が並ぶ。
一般的にカプセルホテルが二段であるのに対し、上下の空間が確保されたキャビンなのだ。キャビンは、ビジネスクラス(専有面積が2.2平方メートル)やファーストクラス(4.4平方メートル)とカテゴライズされ、まさに飛行機のイメージ。
法律上はカプセルホテルと同様の簡易宿所となり、キャビンと廊下の仕切に鍵は掛けられないが、カプセルホテルと違ってプライベートスペース内で「立ち上がれる」のは嬉しい。まさしく進化系カプセルホテルと言えるだろう。
男性専用の施設であるものの最近話題となっているのが「豪華カプセルホテル 安心お宿」だ。新橋・秋葉原・新宿に展開する。
豪華カプセルホテルという名の通り、宿泊料金は安いビジネスホテルを上回るケースもあるが、その快適さは折り紙付きだ。
バリのリゾートをイメージした館内。BGMやインテリアは非日常感が溢れる。無料サービスも多彩で、コミックが並ぶネットカフェやフリードリンク、味噌汁まである。
もちろんカプセルホテルには欠かせない大浴場にはサウナも設置。カプセル内は特注の無圧マットレスに、なんと高級ホテル御用達の「シモンズ」の寝具というから驚く。更衣室には、消臭スプレーや衣類用コロコロなどみだしなみグッズが揃う。アメニティの豊富さも進化系カプセルホテルの特徴だ。