CDの3~7倍の情報量で音質がよいハイレゾは、対応プレイヤーが続々登場し音源配信も歌謡曲など多ジャンルに広がる注目の市場だ。その一方で、アナログレコードの人気が復活し、昨年8月にはHMVが渋谷に専門店をオープンした。アナログディスク生産数量をみると2009年に底を打ち、以後は増加。2012年にビートルズのアナログ盤BOX発売されたため翌年は減ったが、2014年は前年比166%を記録した(日本レコード協会調べ)。
なぜアナログレコードの人気が高まっているのか。初心者向けにレコードの聴き方、探し方やライフスタイルを紹介している『アナログレコードはじめてBOOK』を昨年11月に出版した株式会社ステレオサウンドの西澤文孝さんは、アナログレコード人気は「アーティスト側の音やジャケットへのこだわりと、こだわって聞きたい人の興味の両方が盛り上がってきたからでしょう」という。
「今ではiPhoneなどの普及で常に音楽を聴くのが当たり前の生活になりました。でも、身近になりすぎて音楽が消費物になってしまった側面もあると言われています。趣味的志向がある人にとって、消費するだけの音楽は物足りない。音に興味がある人は、違いが分かるのでいろんな音を聞きたい。針を落とすたびに違う音になり、コンディションを整えることで変化し新しい音に出会えるアナログレコードは、こだわる人にぴったりなんです。
また、国内外のアーティストやアイドルもピクチャー仕様や凝った仕様のアナログ盤を出していますが、今はオーディオシステムを持っていない人が多いのでコレクターズアイテムになっている場合が多かった。ところが昨年ごろから、スピーカー、USB端子がついてPCやスマートフォンにダウンロードできるオールインワンで1万円前後のレコードプレイヤーが販売され始めました。それが、レコードを聴く大きなきっかけになっていますね」
昨年は、様々なアナログレコード発売が話題になった。アイドルのももいろクローバーZやでんぱ組.inc、きゃりーぱみゅぱみゅ、大森靖子、星野源、サザンオールスターズ、そして大ヒット映画『アナと雪の女王』からもホログラム印刷が美しい3枚組サントラが発売された。ジャケットだけでなく、盤面にイラストや写真が施されたピクチャーレコードも多く、プレイヤーがなくてもファンであれば手元に置きたい気持ちになるものばかりだ。