「日経平均は今年、順調にいけば、過去20年間の最高値である2万2666円(1996年6月)を超えると予測しています」
“経済の千里眼”こと、国際金融コンサルタントの菅下清廣氏は国内経済の底力をそう評価するが、海外では金融市場を混乱させるトリガーとなるリスクが少なくないという。いま何が起きれば「売りサイン」と警戒し、どこまで下がれば「押し目買いのサイン」と考えるべきなのか。菅下氏が目前に迫る「原油リスク」を緊急分析した。
* * *
日本国内には株価に関して不安要素は少ないと見ています。昨年末の総選挙で自民党は政権基盤を盤石にしました。アベノミクスがさらに前進する一方、消費税再増税は延期された。足下の上昇トレンドは疑いようがありません。
しかし、世界に目を向けると、まったく逆です。リーマン・ショック級の暴落につながるリスクがいたるところに噴出しています。
相場を読む際に私が何を「買い・売り」の材料としているのか。注視すべき海外のリスク材料に対する投資スタンスをお伝えしましょう。いま世界経済に最も暗い影を落としているのが「原油安」です。
アメリカの原油価格の目安となるWTI先物価格は、昨夏まで1バレル=100ドル超だったものが、わずか半年で半値以下まで暴落。1月末現在、40ドル台半ばで不安定な動きをしています。
先進国経済にとって原油安はプラス要素ですが、株式相場にとっては不安要素です。原油安が進めば進むほど株安が進行します。原油安でロシアなど資源国への信用不安が高まり、世界の機関投資家が「リスクオン」から「リスクオフ」へとポジションを替えるからです。つまり、ここ最近の日米の株高を演出していた投機マネーが一気に株式市場から手を引き、日本株も大打撃を受けてしまいます。