投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、2月16日~2月20日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、ギリシャ反緊縮政権と国際支援団との債務交渉、日本銀行金融政策決定会合と黒田東彦日銀総裁の会見に注目する展開となる。日本銀行関係者から追加緩和は逆効果、との見解が示されたことで、日本銀行金融政策決定会合及び黒田日銀総裁が、否定するのかそれとも肯定するのかを見極めることになる。
16日は、米国債の利払い・償還を受けた本邦機関投資家のリパトリ(外貨建て資産売却・円買い)、そして、3月末決算に向けたヘッジファンド解約45日前告知ルールによる円・キャリートレードの手仕舞い(円買い要因)に警戒することになる。
なお、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産への投資増額は、円売り要因とみられていたが、為替ヘッジの可能性が示されたことで要警戒となる。
【日本の10-12月期国内総生産(GDP)速報値】(16日)
日本の10-12月期の国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率+3.7%と予想されており、2四半期連続のマイナス成長というテクニカルなリセッション(景気後退)からの脱却が見込まれている。予想通りならば、日本銀行の追加緩和観測が後退することになる。
【ユーロ圏財務相会合】(16日)
ユーロ圏財務相会合では、2月末に期限を迎えるギリシャの救援プログラムに関して、6カ月程度の「つなぎ融資」という妥協策が協議されると予想されている。ギリシャ反緊縮政権は、緊縮財政措置の緩和、撤廃を公約にして政権を獲得しており、緊縮財政措置を条件にしている国際支援団(トロイカ:欧州連合・国際通貨基金・欧州中央銀行)との債務交渉が難航している。
債務交渉が決裂した場合、ギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥る可能性、ユーロ圏から離脱する可能性が高まることで、リスク回避の円買い圧力が強まることになる。
【米国債償還・利払い&ヘッジファンド解約45日前告知ルール】(16日)
2月16日は米国債の償還・利払いを受けて、本邦機関投資家のリパトリ(外貨建て資産売却・円買い)による円買い圧力が強まる。また、ヘッジファンドは、3月期末の解約45日前告知ルールで、円・キャリートレードの手仕舞いによる円買い圧力を強めることが予想されている。
【日本銀行金融政策決定会合】(17-18日)
1月に安倍政権は、日本銀行による量的・質的金融緩和について、当面は追加緩和の必要性がないとの見解を示唆していた。2月12日に、日本銀行関係筋から「一段の追加緩和は逆効果になるとの見方が日銀内で浮上している。追加緩和はさらなる円安を引き起こし消費マインドに水を差す」との追加緩和に否定的な見解が報じられた。
日本銀行金融政策決定会合と黒田日銀総裁の会見で、追加緩和に否定的な見解が肯定されるのか否かを見極めることになる。
2月16日-2月20日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。