いまNHK局内では、新たな受信料の料金体系について「“頭の体操”が行なわれている」(幹部局員)。ネット利用者からの受信料徴収を想定した言葉だ。
「若い世代を中心に増えている『テレビはないけど、インターネットが使える世帯』は、地上波のみの受信料である月額約1300円よりも少し安くしてはどうかという案がある。1000円くらいなら若者でも払えるのではないかという仮説だ。
『テレビもあって、ネットも使える世帯』は衛星放送も見られる受信料と同じ2230円か、それとも新聞社には宅配版に加えてネット版を申し込むとプラス1000円かかるサービスがあるから、それに倣ってプラスアルファしてもいいか……といろいろな案をいう人がいる」(同前)
この“頭の体操”では、徴収を他人任せにする検討まで行なわれている。例えばネット利用者を捕捉すること自体が難しいから、プロバイダーに代行徴収してもらって、一括で支払ってもらうのがいいのではないか──というものだ。
国会で近く始まるNHKの予算審議で大きなテーマとなりそうなのが、この「ネット利用者からの受信料徴収を狙うNHKの新経営方針」(衆議院総務委員会所属の野党議員)についてだ。
1月15日にNHKが発表した新経営計画(2015~2017年度)は、2016年度から番組をネットで同時配信するなどインターネットサービスの強化を打ち出し、公共放送から〈“公共メディア”への進化〉を宣言した。別のNHK幹部がいう。
「今後は番組だけでなく、『情報を売る』組織へ変貌を遂げる。テレビ放送だけで生き残りを図るのは公共放送でも難しい時代になり、ネット分野に活路を求めた。ネット配信のコンテンツは『放送』といえるのかという微妙な問題もあり、放送法を改正する必要が出てくるかもしれない」