映画やドラマなどをインターネットを介して配信する米ネットTV最大手「ネットフリックス」が今秋、日本でサービスを開始する。これまでのように決まった時間にテレビの前に陣取ったり、録りためておいたりする必要はなく、いつでも好きなだけ自分の都合でドラマや映画を堪能できるようになる。このサービスに対応したテレビも続々投入される。
米ネットTVの日本上陸は、苦境にあえぐテレビ局に引導を渡す“黒船”になるかもしれない。
ネットフリックスは2月4日、日本での配信開始を発表。会員数約5700万人、約50か国で動画配信サービスを提供する同社は、2016年末までに200か国にサービス網を広げる計画だ。
同社は宅配のDVDレンタル会社として1997年に創業。2009年、定額見放題で映画やドラマを配信するサービスを始め、爆発的に成長した。現在の料金は月額7.99ドル(約970円)。2013年の売り上げ高は約5200億円(約43億ドル)。2年間で株価は6倍、時価総額は約2兆4000億円(約200億ドル)に跳ね上がった。
成功の理由のひとつは、豊富な資金力を背景にしたオリジナルドラマだ。2013年2月に配信開始された政治サスペンスドラマ『ハウス・オブ・カード』の制作費は120億円(1億ドル)。監督に実力派デビッド・フィンチャー、主演にアカデミー賞俳優のケビン・スペイシーを起用するなど、ハリウッド映画にも引けを取らない豪華メンバーを実現した。
さらに連続ドラマでありながら全13話を一気に公開する手法で全米の話題をさらった。同作品は「テレビ界のアカデミー賞」と呼ばれるエミー賞などを受賞。以降、同社は「コンテンツメーカー」として世界に知れ渡ることになる。
もちろん当初からの事業である既存作品の配信サービスでも評価は高い。配信する映画やドラマ、ドキュメンタリーの作品数はなんと約10万本。もちろんその中にはハリウッド映画やテレビの人気ドラマも含まれる。同社は膨大な顧客情報を綿密に分析し、個々のユーザーの好みに合わせた映画やドラマのリコメンド(お勧め)サービスも行なっている。