就職活動真っ盛りだが、就活生の間で毎年話題になるのが「果たして企業は『学歴』でフィルタリングしているかどうか?」という点についてである。いわゆる「上位校」の学生はフィルタリングがあることで安心感を覚えるかもしれないが、いわゆる「下位校」の学生からするとたまったものではない。
そんな中、『「就活」と日本社会―平等幻想を超えて』(NHK出版)で「学歴差別はある」と言い切った作家・評論家の常見陽平氏が、「今、敢えて言っておきます」シリーズ第3回(最終回)に登場(第1回は「生活保護」(自民党参議院議員・片山さつき氏)、第2回は「原発」(NPO法人社会保障経済研究所代表の石川和男氏)。常見氏の真意はどこにあるのか。
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かつてトヨタやソニーが「学校名不問」を宣言していた時代があります。日本企業の特徴として、経済環境が苦しくなると「多様な人材を採りたい」と言いだす法則があります。同じような有名大学の学生ばかり採ることで、多様性がなくなることを懸念し、様々な大学から採る方針に何年かに一度、ふります。グローバル人材採用や一芸採用も、話題になるのは経済環境が苦しい時期なのですよね。
もっとも、建前としても本音としても「多様性」って重要なんですよね。学校名不問は公平性があってクリーンなイメージに繋がります。そもそも採用活動というものは、「採用」だけが目的ではありません。昔ほどヒートアップはしていませんが、採用活動には企業のイメージをよくするという意識もあるのですよ。
たとえば、CM総合研究所が行っている「CM好感度ランキング」で上位に入るのは本当に難しいことです。例外はあるものの、お金をかけて大量出稿する企業が上位に入るものです。しかし、就活の人気ランキングって案外簡単に上げられます。というのも、就活生って毎年、40万人台ぐらいしかいないので、この人たちに広く深く伝達することはそんなに難しくないのです。
しかもターゲットも明確だから、他社よりも接点を増やして、面白い広告やDMを打ったり、特徴的なセミナーをすると順位が上がるのです。この人気ランキングは以前は必ず毎年メディアで紹介されれていたので、上位に入ることの価値は膨大なものがあります。従業員のモチベーションアップにもつながるのですよね。以前は社内報はもちろん、館内放送で人気ランキングの結果を発表していた企業もありました。学生は仮にその会社に入らなかったとしても、翌年はビジネスパーソンになるし、家庭を持つ。そんな時に、就職活動の時にイメージが良かった会社の保険に入ったりするかもしれないんですよ。将来の消費者・取引先になるかもしれない学生に対しては、「ウチの会社はクリーンですよ!」を打ち出す必要があります。だからこそ、学歴差別してないことを装う必要があるのですね。
実は学歴差別って就活の歴史と共に存在しています。諸説ありますが、大学と企業のつながりから始まったものなので、学校間の差はあるのです。