2016年度の就職面接で聞かれるキーワードは「勉強」という。もはや「学チカ」ではない。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が解説する。
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就活生の皆さん、突然ですが、大学時代に勉強したことを熱く語ることができますか? というのも2016年度の就活で鍵となりそうなのか「勉強」の話なのです。
前回、「おわハラ(就活終われハラスメント)」の記事でもご紹介しましたが、大学、短期大学、高等専門学校で構成する就職問題懇談会は「大学等卒業・修了予定者の就職・採用活動時期変更に係る企業等への要請に関する申合せ」を取りまとめ、2月25日に発表しました。
内容は、1.就職時期の変更について 2.就職・採用活動の公平・公正の確保について 3.採用選考活動における評価について 4.学生の健康状態への配慮についてという、大きく4つの柱からなっています。この件は、大学内での企業説明会でやってきた企業に書面で手渡しするように要望されています。
この3つ目の項目において、「学業のことを選考でも重視するように」ということがうたわれています。「今般の就職・採用活動の後ろ倒しの趣旨を踏まえ、少なくとも卒業・修了前年度までの学業成果(成績や履修履歴等)を採用面接において活用するなど適切に評価していただきたいこと。」とあります。
もちろん、これは「要請」であって、法的な拘束力はありません。ただ、企業の方も、ここ数年、「勉強のこと」を質問するのは「便利」であることに気づき始めたのです。というのも、よくある「学生時代に力を入れたことは何ですか?(通称:学チカ)」という質問では、聞くことができる内容に限界があるのです。意地悪な言い方をすると、「自分が好きなこと」を「自分と仲の良い人」と「できる範囲」でやったことを劇的に語っているだけ、ということになり得るわけです。
勉強に関する質問というのは、その人の価値観、思考回路、行動特性がよりわかりやすいのです。なぜ、その科目を履修したのか、その科目で成績をアップさせるためにどのような取り組みをしたのかなどを聞いていく質問は有効です。学生は勉強するのが本業のはずで、それは重視するべきですが、同様に、これは便利な質問でもあるわけですね。
大学というのは、基本は単位を取得し、卒業を目指すことが前提です。単位を取得するのは、いわば、「やらざるを得ない」ことです。社会に出ると「やりたいこと」よりも「やらざるを得ない」ことの方が多いわけです。この「やらざるを得ない」ことにどう取り組むかがわかるのも、勉強に関する質問が有効である理由です。考える力、何か新しいことを習得する力が強いかどうかもわかります。