キレる、スネる、開き直る籾井勝人・NHK会長の“籾井現象”に首相官邸が頭を抱えている。公共放送のトップの存在が、テレビ凋落の現状を象徴してはいないか。自民党国対関係者が語る。
「国会答弁では、質問に答えない、はぐらかす、委員長の注意も聞かない。その姿がNHKの国会中継で放映されるのだから、官邸では内閣支持率に影響しかねないと心配する声があがっており、国会質問の際は籾井会長にできるだけしゃべらせないように答弁を短くしてもらっている」
籾井氏は三井物産副社長や日本ユニシス社長を経て安倍首相の肝煎りで昨年1月にNHK会長に就任。その直後から早速強権を発動した。10人の理事全員に辞表を書かせてそのうちプロパー理事2人を任期いっぱいで交代させ、辞表問題を国会で批判されると「一般社会ではよくあること」と言ってのけたのだ。
籾井氏が“真骨頂”を発揮したのはNHKの中期経営計画説明のために呼ばれた天敵ともいえる民主党の部門会議(2月18日)の席上だった。
民主党議員から辞表取り付けはよくあることではないと追及されると、「屁理屈だ」「撤回しない」と反論し、「こんなに時間をたくさん使ってまた呼ばれるのはごめんだ」 と議論をシャットアウトしたのである。
籾井氏の最大の問題は、本人が会長就任まで「NHKのことを何も知らなかった」と語っているように、公共放送としての性格をまるで理解していないことだ。
いうまでもなくNHKは「国営放送」でも「半官半民」でもない。政府の出資は1円も入っておらず、原則、国民が払う受信料で経営されている。文字通り“みなさまのNHK”なのである。