就職活動の解禁時期が、これまでの大学3年生12月から3月に繰り下げになった。就活が学業を圧迫しないように、留学している学生が不利にならないようにとの配慮から政府が要請し、経済界側が受け入れて決まったことだ。しかし、初めて3月開始の就活シーズンを迎え、当事者である学生たちには戸惑いが広がっている。3月に実施された調査によれば、2016年卒業予定者の53%が「混乱した」と答えている(マクロミル調べ)。
文系私大3年の女子学生は、卒業した先輩から就活が長引かなくていいねと言われ、複雑な気分だ。
「就職情報サイトとかだとわかりづらい具体的なことを知りたくて、あらためて卒業を控えた先輩たちに体験談をとお願いした時のことです。参考になる部分もあると思うんですが、3か月も活動期間が短い今年はかなり勝手が違うなと感じました。正直言って、先輩の話を参考にしづらいので、ものすごく不安です。OB・OG訪問も予定していますが、それでも不安。会社の様子がわかるものならなんでも参考にしたいと思っています」
前述の調査によると、学生が企業を選ぶ際にその企業について知りたい情報は、1位から3位まで順に「社風・雰囲気」が64%、「将来的な給与」が58%、「職場の環境」55%となった。詳しい事業内容(38.7%)や経営理念やビジョン(21.7%)よりも関心が集まっている。彼らは、一般的な説明会ではわからない、会社の雰囲気を重視していることがわかる。
こういった学生側のニーズに企業も応え、一方的な説明会で壇上から説明する上から目線ではない自社紹介が増えてきた。参加者が企業のリアルな内容を得られる、横から目線にトレンドが移りつつある。
たとえば、面接でのミスマッチを解消する「選べる社長面接制度」「面接官社長制度」を導入した株式会社TBI JAPAN。ひと昔前なら企業が用意した面接官と相性があわなければ縁がなかったと不採用にするだけだったのを、袖すり合うも他生の縁と考え、可能性を確かめる仕組みだ。就職希望の学生を、上からではなく同じ高さ、横から見つめるようになった。
また、取締役や子会社社長に弟子入りし、ネットビジネスの世界を体感できるサイバーエージェントの「弟子入り採用」は、新技術の先端に関わる事業だが古典的な言葉遣いだが、仕事は勝手に察するのが当たり前なのではなく、意欲のある人へ積極的に伝える試みといえる。そして、株式会社博報堂と株式会社博報堂DYメディアパートナーズでは、気軽に仕事にまつわる知識や情報を得られる職種紹介&診断ツール「HAKUHODO DNA」を公開した。