今、世間は空前のコーヒーブームだ。社団法人全日本コーヒー協会の調査によると、一人1週間当たりの杯数は、1983年の8.6杯から2012年には10.73杯と、日本人のコーヒー飲用数は年々、増加している。新進のカフェも続々と誕生している一方で、“うち飲みコーヒー”の需要も根強い。自宅でも香ばしいドリップコーヒー、といきたいところだが、コーヒー豆高騰や手間や時間などから、インスタントコーヒー派も多いのではないだろうか。
そこで、安くて手軽なインスタントコーヒーを美味しく飲むコツを、日本インスタントコーヒー協会事務局の秋森雅世さんに聞いた。
実は、インスタントコーヒーの特長は意外と多い。保存安定性に優れる、器具が必要なく簡単に楽しめる、コーヒーかすがでない、誰でもいつでも一定の香味を楽しむことができる、アイスコーヒーなどいろいろな飲み方に対応しやすい、おかしなどの材料に使いやすい――などだ。
「レギュラーコーヒーの保存は未開封で1年~1年半、開封後で1~2週間なのに対し、インスタントコーヒーは未開封で3年間、開封後も1か月保存ができます。コーヒーメーカーやドリッパーといった器具も必要なく、お湯を注ぐだけで手軽ですし、ゴミの処理の必要もありません。
レギュラーコーヒーでは、抽出速度やタイミング、豆の煎り方などによって味が変わってきますが、インスタントコーヒーは、いつ誰が入れても安定した味で飲むことができます。また、水分を含まずパウダー状に濃縮されているので、ミルクをたっぷり入れて飲んだり、好みに合わせて調節できます。ジンやウォッカ、ブランデーなどに直接溶かすことができ、カクテルに入れて楽しむこともできます」(秋葉さん、以下「」内同)
手軽なインスタントコーヒーだが、美味しく入れるための肝は、「臭いや味の無い水」と「温度」にあるという。
「ミネラルウォーターは、インスタントコーヒーに閉じ込められた味や香りを素直に引き出す、軟水がおすすめです。水道水の場合、水の味は地域によって違うので、軽く沸騰させてカルキ臭を取ったり、強いカルキ臭やカビ臭、鉄味のある場合は家庭用の浄水器で除去するといいですよ」
他には、いつでも同じ味を楽しむために、粉の量と入れる湯の量を好みの濃さで一定に保つこと。ベースは140ccのコーヒーカップに2gが目安とされているので、ここを基準に好みの濃さに調節するといい。その際、乾いたカップを使うのもポイント。水滴で溶けたコーヒーは固まってお湯を注いだ際に溶けにくくなるため。湯の温度は、ぬるすぎない温度で目安は80度以上で。クリーミングパウダーやミルクなどは、最後に入れること。
「ミルクにはたんぱく質が含まれているので、コーヒーの酸で固まってしまいます。お湯の温度がある程度下がっていれば大丈夫ですが、最後に入れる方がいいでしょう」
インスタントコーヒーをいつまでも美味しく飲むためには、保存状態も大事だ。乾燥や湿気を嫌うためしっかりとキャップすることだが、そこにも意外なポイントがあった。