2012年12月の安倍政権誕生以降、選挙のたびに議席を伸ばしている唯一の政党が日本共産党だ。とはいえ、安倍政権下で格差に苦しむ人は多くとも、「資本主義はやめるべき」と考える人は少数派だろう。統一地方選前半でも大躍進したが、「共産党に1票」という有権者の選択は、この国に何をもたらすのか。
共産党は戦前から戦後初期にかけては武力革命路線を掲げ、「天皇制打倒」「自衛隊反対」などを前面に打ち出していた。1955年に平和革命路線に転じ、現実路線に徐々にシフトしてきたことは事実だ。元日本共産党中央委員会常任幹部会委員の筆坂秀世氏がいう。
「『暴力革命』のイメージを持つ人も多いでしょうが、現在の党綱領では、『社会主義革命ではなく民主的改革が必要』としています。
共産党の目標は『民主連合政府』をつくること。資本主義の枠内で、異常な対米従属、大企業・財界の横暴な支配を打破するための連立政権を作り、そこに共産党も入るという考えです」
民主連合政府は、筆坂氏が入党した1960年代には「現実路線」だった。1970年代前半にかけて、東京都の美濃部亮吉・知事、大阪府の黒田了一・知事、京都府の蜷川虎三・知事など革新系の首長が相次いで誕生した。
「社会党や民社党、場合によっては公明党などと手を組み、国政でも過半数を取れると考えていました。ところが社会党が衰退・消滅し、現在では共産党が連立を組める相手は見当たりません。改めて自民との徹底対決に存在価値を見出そうとする背景には、そうした事情があります」(同前)
そもそも共産主義は、「私有財産を否定して共同生産による完全な平等の実現をめざす思想」と理解されている。だが、現在の日本共産党の綱領には「私有財産が保障される」と明記され、「生産手段の社会化が必要」とある。
そうした変化を「革命」ではなく「社会主義的変革」と呼んでいる。筆坂氏が解説する。