鋭いスイングから放たれた糸を引く打球が一塁線を抜けていく。とても高校生とは思えない打球だ。
早稲田実業の怪物1年生・清宮幸太郎が、早くも高校野球界に旋風を巻き起こしている。入学式のわずか3日後にスタメン3番で決勝打を放つ鮮烈デビュー。18日には、公式戦3戦13打席目で特大の高校初アーチを放った。
父はラグビーのトップリーグ・ヤマハ発動機の清宮克幸監督。東京北砂リトル時代には通算132本塁打を記録し、米国での世界大会で特大本塁打を放つと「ベーブ・ルースの再来」と称賛された。
この“怪物”の凄さはパワーだけではない。最大の長所は、打撃スイングの柔軟性。特にリストが柔らかいため、どんなボールにも器用に対応できる。本塁打だけでなく、ヒットも量産できるタイプの打者だ。
活躍のたびに報道陣の数は増えていく。しかし、そんな周囲の過熱ぶりにも「自分はこういう環境でやっていかなければいけない人間」と涼しい顔。「(中学時代の)シニアリーグと、高校野球のレベルの違いは感じない」と豪語するビッグマウスぶりも魅力だ。
まさにすべてが規格外。新たな怪物伝説の幕開けだ。
取材・文■田中周治 撮影■藤岡雅樹
※週刊ポスト2015年5月1日号