今年2月、井村屋の『あずきバー』が硬すぎるというネット上の定説にかぶせる形で、一般人が「伝統的なあずきバーの製法」と題し、古式日本刀鍛錬画像をツイート。それに対して、井村屋のツイッター担当者が「社外秘が漏れてしまった」とつぶやいたところ、4万件を超えるリツイートが殺到した騒動。コトの真相&同社のツイッター戦略について、同社のツイッター担当者を直撃した。素顔は「非公開」だという担当者のナカノヒトさん。会ってみると、黒縁眼鏡をかけた男性で、年齢は推定40才前後という感じ!? 以下は、インタビューの一問一答だ。
――約4万件のリツイート騒動が起きた真相について教えてください。
ナカノヒト(以下、ナ):『井村屋』、『あずきバー』というキーワードでサーチを常にかけているのですが、2月24日にカチカチに硬いあずきバーの製法を刀鍛冶に見立てた、一般のかたのツイッターの投稿がひっかかりました。翌日「社外秘が漏れてしまった」と、そのコメントにのっかったところ、約4万件もリツイートされたんです。これは今まででもっとも多いリツイート数です。
――「社外秘が漏れてしまった」という返しは、ナカノヒトさんの発想なんですか?
ナ:はい。“あずきバー=硬い”というイメージが、ネットでも、世間一般でも定着しています。今までも「ダイヤモンドの硬度を上回る」や、『進撃の巨人』にひっかけて「あずきバーは“超硬質ブレード”にはなりません」などのツイートをしたところ、数千リツイートされていました。過去の経験から、刀=硬い=あずきバー=作り方=社外秘と、パッと思いつき、こちらからのっかってみたんです。
――その後はどうなりましたか?
ナ:投稿されていた写真をすぐに調べたら、岐阜県・関市観光協会の画像だと判明。関市に「このツイートを流しました」と、写真の使用許可書を送り、「事後申請で申し訳ありません」と、メールで連絡しました。そのとき、たまたまイベントに出ていた関市の市長さんも、「あずきバーが話題になっていますね」と取材記者のかたに言われたそうで、市長さんから直々にツイッターで「ありがとうございます」という御礼の連絡がきたんですよ。それから交流が進み、4月5日には関市の日本刀鍛錬実演時に、あずきバーを100本配りました。また、4月15日から行われている当社の『ボールアイス』のキャンペーンでは、関市のハサミを賞品に取り入れました。
―― 面白いツイートにはのっかるという柔軟さがユニークですよね。
ナ:うちのツイッターは、とにかく楽しいことが基本。最初から宣伝だけではなく、コミュニケーションアカウントとして運営しています。お客様の質問にすべては答えられませんが、できる限りお客様と会話をしたい。商品の問い合わせは、基本的に問い合わせフォームをお伝えしています。いつでもウェルカムです!
――今やフォロワー数は4万人超え。ネット民の心をくすぐる表現が絶妙ですが、どうやってワードを選んでいるのですか?