民事再生手続き中のスカイマークをどこが救うのか――。当サイトでも度々報じてきたが、難航していた支援先企業の顔ぶれがようやく明らかになった。
総額180億円といわれる出資枠の内訳は、すでにスカイマークとスポンサー契約を結んでいる投資ファンドのインテグラルが50.1%を出資し、残りをANAが16.5%、日本政策投資銀行と三井住友銀行の金融機関が33.4%の株式を保有することで決着しそうだ。
「かねてよりスカイマーク支援の大本命と見られていたANAの出資比率は低いものの、3分の1強を出資する2行はいずれもANAの取引銀行。しかも、新生スカイマークの経営陣にANA側から社長を送り込む約束を取り付けたことを考えると、実質的にANAの支配下に置かれたのと同じ」(全国紙記者)
ある航空業界関係者は、「結局、スカイマークの再建話というよりは、ANAの“天下取り”が進むだけ」と、今後の展望に冷ややかな見方をする。
ANAは過去に経営難に陥ったエア・ドゥ、スカイネットアジア航空、スターフライヤーの3社にも資本を入れているうえ、唯一、独立経営を貫いてきたスカイマークを系列に加えることで、「国内線シェアを独占することができる」(前出の記者)というわけだ。
瀕死に陥っていたスカイマークの支援に多数の企業が名乗りを挙げていたのは、1発着枠で年間20~30億円の儲けが出るといわれる“ドル箱路線”を保持していたからだ。航空経営研究所の赤井奉久氏がいう。
「スカイマークは『羽田―福岡』『羽田―札幌』という日本で一番太い線を持っています。そこにANAが共同運航の形で便数を増やすことができれば、羽田のシェアは現在の5割強から7割近くまで高まることになるのです」
こうしたANAの独占支配にはインテグラルの佐山展生代表も危機感を募らせ、当初から「航空会社の支援は必ずしも必要ではない」との考えを示していた。自身のツイッターなどでも〈一般に“支援”とは受ける側がうれしいことをして初めて“支援”となる〉、〈取って食おうというのではない支援が本当の支援〉と発言し、ANAの経営参画には否定的だった。
それが一転して支援を受け入れることになったのはなぜか。
「スカイマークは大型航空機の納入キャンセルにより、エアバスから1000億円に近い賠償金の請求を受けている。まずは航空機のリース会社など大口の債権者との間で『過去の清算』ができなければリスタートが切れない。そこで、エアバスや債権者と関係の深いANAが支援に乗り出すことで、債務をできるだけ少なく抑える交渉がしやすくなる」(前出・記者)