「途上国へのワクチン支援になる」というキャッチコピーで広がったペットボトルのキャップを集める活動は、小中学校や幼稚園などが参加する国民的運動になった。
ところが、キャップを集めるNPO法人「エコキャップ推進協会」が1年以上にわたってワクチン寄付をしていなかったことが発覚し、大騒動になっている。怒りの声が巻き起こるなか、渦中のNPO理事長が取材に応じた。
「キャップを集めてくださった皆さんには、説明不足を率直にお詫びしなければなりません」
そう語るのはエコキャップ推進協会(エコ推)の矢部信司・理事長だ。2007年8月に設立されたエコ推は、ペットボトルのキャップを全国から集め、リサイクル業者に売却。その利益を途上国の子供たちのワクチン代として、JCV(世界の子どもにワクチンを日本委員会)という別のNPO団体に寄付してきた。
「ペットボトルのキャップを集めて世界の子どもたちにワクチンを届けよう!」というフレーズは世間に広く浸透し、これまでに約123億個のキャップが回収された。
ところが今年4月になって、エコ推が昨期(2013年9月~2014年8月)、約9000万円の収入があったにもかかわらず、JCVに1円も寄付していなかったことを朝日新聞が報じた。今期もJCVに寄付はなく、「ワクチン寄付はなかった」と新聞・テレビが大きく報じ、インターネットなどでは「国民の善意をネコババした」と大批判を浴びた。
最大の疑問は「9000万円はどこに消えたのか」だ。矢部氏が答える。