2014年度に日本で一番売れたクルマはトヨタの小型ハイブリッドカー、アクアだった。ハイブリッドではないが、アクアの有力な対抗馬はマツダ・デミオ。経済的で見た目もよいこの二つを、これまでにクルマを40台買ってきたフリーライター・清水草一氏(53)が評価した。
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何を隠そうこの私、アクアのオーナーである。と言っても美女と温泉ドライブ用に買ったわけではなく、「燃費世界一」という謳い文句に惹かれ、「世界一の燃費を叩き出したる!」というカーマニア魂に燃えて買ったのだった。
実際、燃費はかなりいい。平均してリッター20kmというところだ。しかしそれよりいいのは、実はハンドリングだった。アクアは重心が低く、ハンドルを切ると反応がシャープで気持ちいい。美女にはどうでもいいことだろうが、カーマニアとしては嬉しい誤算だった。乗り心地に関しては、我が家の初期型アクアはあまりよろしくないのだが、マイナーチェンジで大いに改善され快適になった。プラス査定である。
もうひとつのアクアの美点、それはボディカラーが豊富だということだ。全14色で水色や黄色など、オッサン臭くない色も多い。我が家のアクアはオレンジ色だが、これが女性に大変好評だ。美女にクルマの印象を尋ねても、色しか覚えていないことも多いので、若々しさや遊び慣れた雰囲気をアピールするうえで、これはアリだろう。
値段は、売れ筋の「S」で189万円、遊び慣れた感じの「Xアーバン」で205万円ほど。日本一売れているとは言っても、プリウスほどありふれた感はまだないし、節約とハンドリングを両立させつつ、カワイイ色でさりげなく美女との温泉ドライブに備えるというのは、オッサン的に悪くない選択だ。
が、しかし昨年、アクアの有力な対抗馬が出現した。マツダ・デミオだ。こちらはハイブリッドではなくクリーンディーゼルエンジンがウリで、販売成績も第7位(2015年3月・日本自動車販売連合会調べ)と健闘している。十分ベストセラーカーだ。