投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が6月1日~6月5日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は強含みか。米国の5月の雇用統計が予想通り(失業率:5.4%、非農業部門雇用者数+22.3万人)ならば、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ決定の可能性が浮上する。早期利上げ期待が一段と高まることでリスク選好的なドル買い・円売りは継続する見通し。
雇用統計が悪化していた場合でも、本邦機関投資家による外貨建て資産への投資増額が予想されており、ドルが大きく売られる状況ではないとみられる。
なお、円高要因としては、中東の地政学的リスクの緊迫化、ギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念、米国連邦準備理事会(FRB)の早期利上げ観測の後退などが挙げられている。これらの条件が提示された場合、リスク回避的なドル売りが強まる可能性があるので注意したい。
【米国の4月のコアインフレ率】(1日)
米国の4月のコア個人消費支出(PCE)価格指数は、前年比+1.4%と予想されており、3月の+1.3%からの上昇が見込まれている。FRBのインフレ目標+2.0%には依然として程遠いものの、コア消費者物価指数と共にインフレ指標が上昇基調にあることで、FOMCでの利上げの可能性が高まることになる。
【米地区連銀経済報告(ベージュブック)】(3日)
米地区連銀経済報告は、16-17日のFOMCでの米国の景況感の判断材料となる。利上げの判断は、雇用情勢と物価情勢で「合理的な確信(reasonably confident)」が得られた場合というフォワードガイダンス(将来の金融政策指針)が示されていることで、雇用市場や物価情勢に注目することになる。
【米国の5月の雇用統計】(5日)
米国の5月の雇用統計では、失業率は5.4%と予想されており4月の5.4%と変わらず、非農業部門雇用者数は前月比+22.3万人と予想されており4月の+22.3万人と変わらずと見込まれている。平均時給、不完全雇用率、労働参加率などが改善していた場合、16-17日のFOMCで利上げが開始される可能性が高まることになる。
リスクシナリオとして、米国の5月の雇用統計がネガティブ・サプライズとなった場合、6月のFOMCでの利上げ観測が後退することで、ドル・円は上げ渋る展開となる。
6月1日-5日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。