メタボリックシンドロームや隠れ肥満・脂肪肝など、食生活にまつわる健康懸念は多い。糖尿病の専門医としてテレビなどでも活躍する、しんクリニック院長の辛浩基先生は、こう話す。
「『健康診断でひっかからない限り、血糖値は気にしない』『血糖値が問題になるのは、糖尿病の人だけ』と誤解している人がいますが、それは大きな間違い。血糖値は、多くの人が感じている肉体的、精神的な疲れにも大きく関わっています。そして、血糖値の変動を少なくするために注目されているのが、大豆などの“低GI食品”なのです」
「血糖値」とは血液中の糖(血糖)の量を示す値のことで、食事をすると上昇するが、血糖が増えるとインスリンというホルモンが分泌されて、糖が全身の臓器に取り込まれるため、血糖値は一定に保たれる仕組みになっている。ところが、インスリンがうまく働かないと高血糖の状態が続き、血管がダメージを受ける。これが“糖尿病”で、現在では日本人の5人に1人がこの病気の疑いがあるといわれている。
「血糖値が急上昇・急降下を繰り返すのも、非常に危険です。例えば、ラーメンやうどんといった麺類・丼ものなど、糖質の多い食事を摂ると、食後に血糖値が急激に上がることがあります。その後、インスリンの働きで一気に下がるのですが、この時、軽い低血糖状態となり、頭痛や目のかすみ、空腹感、眠気など、さまざまな不調が起こることがあるのです」(辛先生)
特に注意が必要なのは、もともと“食後血糖値”が高い人。通常、健康診断や人間ドックでは空腹時血糖値は測定するが、食後血糖値は特別な検査をしないとわからない。しかし、この値が高い人は、健康な人に比べて血糖値が上がりやすいという。