タレントの島崎和歌子さんがテレビのバラエティー番組(7月3日放送「ビートたけしのいかがなもの会」/テレビ朝日系列)に出演した際の発言が物議を醸している。
「私の友達夫婦がすごく高いタワーマンションの3階に住んでるの。ふつう、タワーマンションだったらエレベーターで上がるけど、3階だから階段で上がるの(笑)」
放送後、ネット上では〈2階や3階の住人に失礼だろ〉〈脳内がまだバブル時代〉などと批判が相次いだが、タワーマンションの低層階に住むメリットはないのだろうか。『やってはいけないマンション選び』の著者である住宅ジャーナリストの榊淳司氏が解説する。
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タワーマンションの住民には心理的なヒエラルキーがある、というのはよく言われることだ。タワーマンションとは20階以上の超高層集合住宅のこと。最近では50階や60階も珍しくなくなった。その魅力は何といっても眺望である。
そんなタワーマンションの低層階に住むのは何の意味があるのか、という議論はあって当然。島崎さんは「レインボーブリッジが見えるロケーションなのに、ベランダに出たら何も見えない。でも『設備は他の階と一緒だから』と言って住んでるの(笑)」と発言したそうだ。
新築分譲で販売されるタワーマンションの場合、低層階と高層階では大きな価格差がある。低層階は高層階に比べて坪単価で3割以上割安になるケースも多い。しかし、その「格差」によって高層階の区分所有者が低層階の住民を蔑むこともあるそうだ。逆に低層階の区分所有者は高層階住民にコンプレックスを抱くかもしれない。
住民同士、普段は交流がないがエレベーター内の視線や、幼稚園や小学校の「ママ友」社会にはそういう「格差」が存在する、と言う話を聞く。共用施設のスポーツジムなどで知り合った住民に「何階にお住まいですか?」と聞かれることもありそうだ。
では、実際にそういった格差の裏付けはあるのだろうか?
まず、タワータイプは通常の板状型マンションに比べてランニングコストが高い。ザックリいうと、管理費や修繕積立金が約1.5倍なのが普通。マンションの管理費や修繕積立金は主に共用部分の維持管理コストである。
たとえば、エレベーター。低層階の居住者は高層階の住民に比べてエレベーターでの移動距離や使用頻度がかなり少ないはずだ。しかし、管理費や修繕積立金は住戸の専有面積割合で課せられているケースがほとんど。いってみれば、あまり使っていないエレベーターの保守点検費用を高層階の区分所有者と同じ割合で負担させられている。不公平といえば不公平だ。
中古として売却する場合、高層階なら眺望が大きなメリットになる。「レインボーブリッジが見える」、「晴れた朝には富士山を拝める」というのは大きな魅力だろう。低層階ではそれが望めない。それでいて、ランニングコストは板状型マンションよりも割高。これが売却には不利に働く。