“替え玉事件”で世間から集中的なバッシングを受ける中、ビートたけし率いるたけし軍団に加入したなべやかん(44才)。たけしの付き人時代や、軍団の理不尽な“かわいがり”の中で身につけていった芸人魂など、貴重で笑えるエピソードを披露してもらった。
――やかんさんは“替え玉事件”の渦中でたけし軍団に加入されたわけですよね。
なべ:マスコミがすごく来るんですよ。軍団に入ると、まずはたけしさんの付き人をしたんですけど、たけしさんは「俺が防波堤になるから」って言ってくれたんです。マスコミになにか言われても、「なんで俺が、わざわざ弟子のことを語らなきゃならねえんだ」って追っ払って。「大丈夫だから」って言ってくれました。
――頼もしいですね!
なべ:2年半付き人をして、四六時中一緒にいたんです。テレビ局だったら、たけしさんより先に楽屋に入って、お茶や新聞や週刊誌の用意をしたり。たけしさんは、そこから時事ネタとか拾うんですね。あとは着替えを畳んだり掛けたり、煙草を吸うので、煙草や灰皿準備をしたり、ドラマなら台本を用意したりしました。
――付き人をされて、それまでのたけしさん像と違いはありましたか?
なべ:印象の違いは、そんなになかったですね。たけしさんより軍団に対する不安のほうが大きかったです。ろくでもない人も中にはいるんですよ。
――どんなことがあったんですか?
なべ:たとえば、初めて渋谷ビデオスタジオに行ったとき、とにかく怖かったんです。たけしさんと話さなきゃいけないし、軍団もいるし、テレビ局の仕事だし。どんな人たちなんだろうと思っていると、楽屋の隣のトイレから、たけしさんの怒鳴り声が聞こえてきたんです。
「うわっ、怖いな」って思いながら耳をすますと、「誰がウンコ流してないんだ!」って怒鳴っていたんです。「ラッシャーなのか井手なのか、誰なんだ! ウンコしたら流さなきゃダメだろ!」って。便所すら流せないやつらを先輩って呼ばなきゃいけないんだと、愕然としましたよ。そこからです、地獄の始まりは。
――ほかにどんな地獄が待ち構えていたんですか?