幅広い業種が融資先となる大銀行の業績は「景気と連動する」と指摘される。6月に発表された上場企業の2014年度決算で、軒並み好業績だったのが「メガバンク」だ。三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は国内金融機関として初めて連結純利益が1兆円を超え、三井住友FGも約7500億円、みずほFGが約6100億円と好調ぶりを示した。
『半沢直樹』(TBS系)や『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)など、最近は銀行を舞台にしたドラマのヒット作が続くが、実在する各行の内情はどうなっているのか。
それを探るべく開催した経済記者座談会の出席者は40代の大手紙経済部記者のA氏、40代の経済誌記者B氏、30代の若手業界紙記者C氏、長く銀行業界を取材してきた50代のベテラン経済ジャーナリストD氏の4人。銀行の“裏事情”が次々に飛び出した。
C:「出世コースは厳然と存在しますよね。企画部と人事部は必ずといっていいほど経験する部門だから、僕も“この人が将来のトップ候補かも”と注目して接しますよ。緑(三井住友銀行)なんかは完全に企画ラインが出世コースになっている」
B:「あとは業界で『ナンバー部』と呼ばれる本店営業部もトップが必ず通る道だね。本店営業部の1部とか2部というように、番号のついている部署のこと。大事なのはナンバーの若さじゃなくて、主要取引先をメインで扱う部署かどうか」
C:「だけど、そんな華やかな経歴をたどれるのはほんの一握り。同期の数も多いから、出世争いはシビアです。役員にならない限り銀行に残ることができず、50歳前後で大多数の銀行員は銀行を追い出されてしまう。世間的にはエリート集団のイメージだけど、実態はかなり厳しいですよね」
D:「昔は“上がりの店”と呼ばれる支店があって、『この支店に異動になったら、後はもう銀行を去るしかない』といわれていた。今は店は固定されていないようだけど。どのメガバンクも合併後に大量の余剰人員が出ている。特に人数の多い『バブル入社組』をどうやって外に出すかは、共通の課題になっている」