10月10日まで千葉市の幕張メッセで開催されていた最先端の家電見本市「CEATEC JAPAN 2015」。今年はソニーや日立製作所に続き、不正会計問題に揺れる東芝まで不参加となったために、「未来のテクノロジーを紹介するというより、各社が現行製品を並べるショールームの色合いが濃かった」(専門誌記者)との声も出た。
そんな中で唯一気を吐いていたのがシャープだ。周知の通り、同社は経営再建中の身の上で、新規事業への積極投資もままならない状態だが、ロボット型携帯電話『RoBoHoN』ほか、独自のAI(人工知能)技術を駆使した“しゃべる家電”の数々を披露してみせた。
そして、シャープが次世代規格製品の中で最も先行し、覇権を狙っているのがスーパーハイビジョンと呼ばれる「8Kテレビ」である。
巷の家電量販店などでは、すでに高画質を売りにした「4Kテレビ」のラインアップが増えているが、シャープは4K映像をさらに高精細に映し出せるテレビや、日本メーカー初の発売(10月30日)となる商業用8Kモニターを大々的に展示した。
しかし、テレビの買い替えを検討している人にとってみたら、「そもそも4Kテレビだって本当に必要なのか」「8Kテレビが出るなら購入を待ったほうがいいのか」「家庭用8Kテレビの値段はどのくらいになるのか」といった疑問が次々に沸いてくるのではなかろうか。
そこで、CEATECで説明員をしていたメーカー担当者や、IT・家電ジャーナリストの安蔵靖志氏に、4K、8Kテレビの素朴な疑問を解説してもらった。
【4K、8Kテレビとは何か】
映像の解像度を表す形式のことで、画面のきめ細やかさを左右する。4Kは現行のフルハイビジョン(2K)の4倍、8Kは16倍高画質といわれる。
シャープの担当者によると、「8Kテレビは実物と見比べたときに違いが分からないほど高精細。85インチ(縦の長さは1060ミリ)の巨大サイズを購入した場合、テレビから70数センチの距離から見ても光の点が見えないレベル」だという。
【4Kテレビですら値段が高いし、本当に普及するのか】
2012年から本格的に売り出された4K対応テレビ。当初は値段も高かったが、今年4月の平均単価は1年前より4割下がり、初めて20万円を割り込んだため、普及速度は増している。「画質のキレイさが実感できる50インチ以上の大画面モデルでは、4Kが当たり前になりつつあります」(安蔵氏)