天野ひろゆきが語る強烈深夜番組の思い出
今から20年前、『三行広告探偵社』(日本テレビ系)なる深夜番組があった。これは、今では人気お笑いコンビのキャイ~ンがまだ下積み生活を送っていたころ、新聞の三行広告に掲載されている求人や風俗店に連絡し、現場に潜入する体当たり企画だった。いまでは放送NGになってしまいそうな、強烈な体験の数々を、キャイ~ンの天野ひろゆき(45)が振り返る──。
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当時はまだ勢いだけの若手で、キャイ~ンだけで番組をやらせてもらえることが本当に嬉しかったですね。
番組の演出にも馬鹿馬鹿しい面白さがありました。冒頭で探偵社に依頼が来るという場面はドラマ仕立て。ヤシチから風車が飛んできて、そこに書かれている三行広告に電話するというストーリーでした(笑い)。なにしろ深夜2時過ぎからの30分番組ですから、予算が全然なくて……。
撮影は毎回、ドキドキものでしたよ。僕らは何も知らされない状態で、本当に自分で電話していかにも怪しげな現場に行くんですから。現場では毎回のように意外な発見がありましたね。例えば「ひろこ」っていう三行広告があって、「ひろ子」さんに会う広告なのかと思って連絡したら、「拾う子」のことなんです。
駅前の路上で漫画雑誌や週刊誌を並べて売ってる人がいるでしょ? あそこで売られている雑誌を拾ってくる人たちを募集する広告でした。あの商売って拾う専門の人と売る専門の人が分業化されているんです。拾ってきた雑誌は古本屋さんが買い取る場合もあるし、路上で売ってお金に換える場合もある。
この仕事では売ってる人がリーダーというか“元締め”で、明確な上下関係があるんですね。「ひろこ」になる人は自由気ままに生きたくて日銭になる仕事を始めたはずなのに、結局は誰かに支配されている。社会の縮図を見た気がしました。