「帰ってきた村上ファンド」が再び市場を賑わせている。かつて「モノ言う株主」として脚光を浴びた村上世彰氏(56)は長女の絢氏(27)が代表を務める「C&Iホールディングス」とともに、新たに株の大量保有を進めている。その“新生・村上ファンド”が買い進める銘柄が大きく値を伸ばしているのだ。
C&Iホールディングス(以下、村上ファンドと表記)が株を大量取得したことで話題になった電子部品商社・黒田電気の株価が好調だ。
同社は今年3月期に4期連続の増収増益を果たしたが、内部留保が多い割には配当性向(純利益のうちどれだけ株主配当に割くかの指標)が19%と市場平均を下回り、「株主還元」に積極的とはいえなかった。それが影響してか、株価は割安な状態が続いていた。
村上ファンドはこれに注目し、昨年11月から黒田電気の株式を大量に買い進めていったとされる。同12月には約5%の大量保有を報告。その後、ファンド・個人保有など合わせて約16%まで買い増した。
そして今年6月、経営陣に「株主提案」として、臨時株主総会の招集を要求し、株主還元の強化やM&Aによる半導体業界の再編、村上氏ら4人を社外取締役に専任することなどを矢継ぎ早に求め、「モノ言う株主が帰ってきた」と話題になった。
8月21日に開かれた臨時株主総会で社外取締役の選任は否決されたものの、株主配当は当初予定していた1株36円から94円と2.6倍に上積みされた。この間、株価は上昇を続け、大量保有が判明した昨年12月22日から約56%、年初からは約47%も上昇し「村上銘柄」の底力を見せつけた。カブ知恵・藤井英敏代表が語る。
「黒田電気は本来マイナーな銘柄だが、村上ファンドが大量保有したことで関心が高まり、一躍人気銘柄になった。投資家は村上ファンドの“買い”の動向に常に目を光らせています」