11月1日に行なわれた全日本大学駅伝で、大学駅伝三冠(同一年度に出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝をすべて制覇すること)を狙った青山学院大が優勝を逃した。27秒差の2位で襷を受けた青学大のアンカーは「三代目・山の神」こと神野大地(4年)。大逆転が期待されたものの、逆に優勝した東洋大に1分4秒差に引き離される惨敗だった(神野は区間8位)。
優勝した東洋大は、これまで箱根駅伝を4度制していたが、全日本は初優勝。酒井俊幸監督(39)は「強い青学大に勝つには100%以上の力を出し切るしかなかった」と涙で選手たちを称えた。この涙には優勝した喜びとともに、「盟友」と誓った約束を果たした充実感も込められていた──。
その盟友とは5連覇を懸けて全日本に臨み、3位に終わった駒澤大・大八木弘明監督(57)だ。歳こそ離れているが、ともに駅伝が盛んな福島出身。酒井監督は同郷の大先輩である大八木監督について常々、“憧れの指導者”と公言してきた。大八木監督も若いながらも着実に結果を残す酒井監督を認め、親交を深めているという。
「情報交換のために頻繁に会っていると聞きます。駒澤大から近い三軒茶屋の大八木監督行きつけの居酒屋で、飲みながら駅伝論を熱く語り合い、興奮してくると福島弁バリバリになるそうです(笑い)」(スポーツ紙記者)
そんな2人の酒席で“苦い肴”となっていたのが「青学大」だった。
「2人とも青学の強さは認めつつも、“絶対に勝たせたくない”と言い合っている。2人の話題はいつも“どうやったら青学に勝てるか?”みたいです」(同前)
酒井監督と大八木監督は、全日本直前の10月22日にトークイベントを行なったのだが、そこでも「打倒・青学大」という言葉が繰り返されていたという。
箱根駅伝優勝6度の駒大、そして4度の東洋大。名門2校の監督が、今年初優勝したばかりの青学大を敵視する理由は青学大を率いる原晋監督(48)にあった。
「箱根優勝以降の原監督のビッグマウスに憤りを覚えているんです。他大学の存在を無視するかのように“今年のメンバーは青学史上ではなく、学生駅伝史上最強の集団”などと豪語。それが2人をはじめ、他の監督たちの耳にも入っていて、“青学だけには負けない”と一致団結している」(前出・スポーツ紙記者)
箱根駅伝とは無縁、就職した会社の陸上部では怪我の影響でクビになるなど陸上界では日陰を歩んできた原監督が、サラリーマンを経験した後に青学大という弱小校の監督に就任し、箱根駅伝優勝まで導いたサクセスストーリーは多くの人々の関心を呼んだ。一躍時の人となった原監督はテレビや講演会に引っ張りだこになり、出版した自叙伝も話題になった。