モテ車を解説する「週刊ポスト」連載の「死ぬまで カーマニア宣言!」。今回は、少し新しめのクラシックカー、なかでも国産のヤングクラシックについて。これまでにクルマを40台買ってきたフリーライター・清水草一氏(53)が、スカイラインGT-Rや初代トヨタ・MR2について解説する。
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ご同輩諸君。「ヤングクラシック」という言葉をご存じだろうか。文字通り、新しめのクラシックカーという意味である。少し前に「空冷ポルシェ911の中古車が暴騰中」というニュースをお届けしたが、あれも一種のヤングクラシックだ。
実はいま、国産のヤングクラシックにも脚光が当たっている。我々が若かりし頃憧れたクルマに再び注目が集まっていると聞くと、あの頃の憧れをいま実現させたくなってくるのは、私だけではないだろう。それが美女に受けるかどうかは未知数だが……。
最大の注目株は、日産・スカイラインGT-Rの「R 32型」と呼ばれるモデルだ。生産されたのは1989~1994年。バブル末期の自動車熱狂時代を華々しく飾った、国産スポーツカーの帝王である。
この名車の値段がいま、ぐんぐん上がっている。原因はアメリカにある。
この型のスカイラインGT-Rは、アメリカへは正規輸出されなかった。またあちらの制度により日本から中古車も持ち込めなかったのだが、生産から25年を経るとクラシックカーと認定され、輸入がOKとなる。アメリカでもスカイラインGT-Rはカルト的な人気があり、なかでもR 32型は幻のヒーロー的存在。輸入解禁と同時にアメリカの業者が来日し、状態のいい中古車から順に高値で買い付けているのだ。
おかげで最近は500万円の値が付く個体も出る始末。新車で約450万円だったのだから、それより高くなってしまった。
このR 32型GT-R、安い個体はすべて改造されている。バリバリの走り屋が好む車種だけに、サーキットで酷使され激しく傷んでいるケースも多く、ちょっと手を出しにくい。