東芝、三井不動産、旭化成など、最近、不祥事で名前が挙がるのは、どれも一流企業ばかりだ。そこで働く社員たちは当然、「一流企業に勤めるサラリーマン」であることに誇りを持っていたはず。だが、たったひとつの不祥事でプライドは打ち砕かれ、その影響はさらに家族にまで及ぶ。
異物混入事件以降、業績の悪化している日本マクドナルド社員の男性(45)の話は切実だ。
「事件の後に、小学生の子供の授業で、『父親の職業について調べる』という宿題がありました。一応、私は店長として何十人もの部下やアルバイトを使っている立場ですので、サービス業の大変さや飲食店のルールなどを子供に教え、立派なレポートが仕上がりました。それを授業参観日に発表することになったんですが、なぜかうちの子供だけが発表させてもらえなかった。
先生がランダムに指して発表していく形だったんですが、うちの子は最後まで指されなかった。それで時間切れ。まわりの父兄の間では、『やっぱり、○○ちゃんのパパは、マックだから』という声がちらほら聞こえてきました」
さらに悲劇は続く。
「会社から『ご迷惑をかけた』ということで、社員たちにバリューセットのギフト券が10セット配られました。それを妻が子供の友人たちに配ろうとしたら、1人のお母さんから『いらないわよ』と拒否され、『いま人に配らない方がいいわよ。嫌味に受け取られるから』といわれたそうなんです。妻も子供もそんなに信用を無くしたのかと、ショックを受けていました」