性感染症「梅毒」の患者が急増していると話題だ。国立感染症研究所が定期的に発表している「感染症週報」で、今年の症例数が昨年同時期の1.5倍、女性は2.0倍、なかでも20~27歳の女性が2.7倍と激増しているとわかったからだ。この報道を『脱法ドラッグの罠』著者で若者の風俗文化に詳しい森鷹久氏は「意外でもなんでもありませんよ」という。
「最近、性感染症にかかる風俗店の女の子が増えています。これまでもクラミジアや淋病は普通にある病気で、女の子たちも気軽に店のスタッフ打ち明け、店側も病院を紹介して治療に協力したものです。最近は梅毒にかかる女の子が続いています。風俗店で働くのはほとんどが若い女の子ですから、彼女たちの年齢層で症例数が増えているのは不思議でもなんでもありません。
梅毒の場合、他の病気と反応が違っていて、感染したことを女の子たちもなかなか言い出さない。そして、他の病気よりもショックが大きいらしく、ひどく取り乱したり連絡がとれなくなったりします」
梅毒に感染すると、まず潰瘍やリンパ節の腫れが見られる。発疹や関節痛などが出る場合もある。放置を続けると臓器や脳、神経が侵され、死に至ることもある(現代では稀)。感染したときのショックの大きさ以外にも、他の病気と様子が違うことがある。淋病などでは潜伏中に接客した客からクレームがくるなど、店側からみると男女ほぼ同数の何らかの反応がある。ところが、梅毒に限っては、女性側からの報告しか確認できていないというのだ。
「梅毒に感染した女の子の話を聞かせてくれた店のマネージャーは、最近、中国人団体客を定期的に受け入れていたためではないかと疑っていました。メニューにない特別サービスを女の子たちに直接、交渉する中国人が多いのですが、高額の割増料金につられてサービスに応じると感染リスクは高まりますよね。彼らは観光旅行中に訪れて中国へ帰るからクレームの入れようもない。原因かと疑いたくなりますよ」(前出・森さん)