国内

児福法違反の元芸能プロ社長 号泣し訴えた驚くべき犯行理由

夢見る少女につけ込む大人は後を絶たない(写真はイメージ)

 2015年前半は、アイドルやタレント、モデルになりたいという少女たちの願いにつけ込んだ犯罪がいくつも露見した。所属するグループアイドルがメインのテレビ番組やファッション雑誌などがあったことから話題になった、ある芸能プロ元社長が被告の裁判の様子を『脱法ドラッグの罠』著者で若者の風俗文化に詳しいライターの森鷹久氏がレポートする。

 * * *
「言葉がない、本当に。ごめんなさいという感じ。ここまでつらく恥ずかしい思いをさせて申し訳ない」

 11月25日、静まり返った東京地裁514号法廷内に被告人の嗚咽が響き渡ると、傍聴席に座っていた被告の内縁の妻は口に手を当て、肩を震わせた。間違いを犯してしまった夫による妻への謝罪、そして被告の更正を信じ応援する妻、という風にも見えるだろうか。しかし、法廷内は嗚咽の後、再び静寂に戻った。あまりに唐突で、芝居がかった泣き方のように見えたのは私だけではなかったのではないか。

 法廷内がしらけたのは、それだけが理由ではない。田代被告は罪状そのものは認めつつも、具体的な犯罪内容に話が及ぶと、被害者と異なる主張を繰り返したのだ。頻度や内容において、被告の主張は被害者のそれよりもことごとく過小なものになっており、謝罪の言葉と涙は、罪を軽くしたい被告夫妻による演技のようにも映る。

 被告人である田代仁ことフィリピン国籍のベレン・オリバー・オリベッティ被告(38)は、芸能プロダクション「センディング」の代表をつとめていた。その事務所に所属予定だった当時中学生のAさん(15)に、昨年9月から10月頃、わいせつな行為をしたとして今年5月、児童福祉法違反容疑で逮捕された。彼が号泣した裁判は、この容疑についてである。

 逮捕直後には「今は覚えていない」と否認していた田代被告だったが、しばらくすると一転して容疑を認め、Aさんと「恋人関係にあった」「(少女を)デビューさせるより自身の性的欲求が勝った」と供述、起訴された。各メディアも事件を大々的に報じたが、都市伝説的に語られていた「芸能界と性」という実態が白日の元に晒されたような形となったため、とりわけネット界隈の住民の注目度も高かった。

 被害者証言によれば、昨年の夏にA子さんは田代被告とイベントを通じて知り合った後、9月上旬に田代被告がA子さんを事務所に呼び出し面接をした。このとき「性行為」があったと被害者は訴えているが、田代被告は「上着を脱がせ、体のラインを見て、ウォーキングをしただけ」だと主張している。検察によれば、さらに同じ少女と11月頃までに計20回以上の性行為をAさんと重ねたというが、田代被告は2回だけだと反論している。

 田代被告の主張は、私が彼らをよく知る関係者たちに取材した内容とも印象が違っている。たとえば、彼が編集長を務めていたファッション雑誌の読者モデルによれば、個人的に気に入っていることが露骨にわかるほどA子さんを様々な現場やイベントに連れ回していたという。ある読者モデルはこう言う。

「明らかに未成年のA子さんと深夜まで一緒にいて、その後はどこかに宿泊していた。性行為が2回だけなんて信じられない」

関連キーワード

トピックス

中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
米国からエルサルバドルに送還されたベネズエラのギャング組織のメンバーら(AFP PHOTO / EL SALVADOR'S PRESIDENCY PRESS OFFICE)
“世界最恐の刑務所”に移送された“後ろ手拘束・丸刈り”の凶悪ギャング「刑務所を制圧しプールやナイトクラブを設営」した荒くれ者たち《エルサルバドル大統領の強権的な治安対策》
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
中居正広氏とフジテレビ社屋(時事通信フォト)
【被害女性Aさん フジ問題で独占告白】「理不尽な思いをしている方がたくさん…」彼女はいま何を思い、何を求めるのか
週刊ポスト
食道がんであることを公表した石橋貴明、元妻の鈴木保奈美は沈黙を貫いている(左/Instagramより)
《食道がん公表のとんねるず・石橋貴明(63)》社長と所属女優として沈黙貫く元妻の鈴木保奈美との距離感、長女との確執乗り越え…「初孫抱いて見せていた笑顔」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン