近年、条例にて路上喫煙の禁止区域を定め、違反者には数千円の過料を徴収する自治体が増えたため、街中の「たばこマナー」は格段に良くなったと評価する向きがある。確かに平然と歩きたばこをしたり、堂々とポイ捨てしたりするスモーカーは減った。
だが、当サイトでも度々報じてきたように、当たり前のマナーやモラルに関する規制やルールを強めれば強めるほど、日々の生活で息苦しさが増し、かえって反発を招くケースは多い。路上喫煙の禁止もそのひとつだ。
「私は外出するときには必ず携帯灰皿を持ち歩き、人通りの多い場所では絶対に吸いませんし、できるだけ灰皿が置いてある喫煙所で吸うようにしています。でも、最近は禁止区域ばかりですし、喫煙所を探すほうが難しい。
そこで、つい1本路地裏に入って、飲みたくもない缶コーヒーを片手にコソコソと吸ってしまうことがあります。たばこは大人に認められた嗜好品。路上禁煙にするなら、せめて要所に喫煙所を設けてくれれば、こんなに肩身の狭い思いはしなくて済むのに、と思います」(東京在住の40代男性喫煙者)
こうした喫煙者の不満を汲み取り、非喫煙者との共存を実現させようと努力している自治体もある。国内外から年間5000万人以上の観光客が押し寄せる古都・京都だ。
12月7日、京都屈指の「紅葉の名所」として知られる高台寺(東山区)手前にある高台寺公園で、市内11か所目となる“公共喫煙所”のオープニングセレモニーが開かれた。
灰皿を囲うパーテーションには市内産の木材「みやこ杣木(ヒノキ)」が、丸太の腰掛けには「北山スギ」を使用した豪華なスペース。何よりも、大和塀をイメージしたという外観が周囲の景観に溶け込んでいる。
じつは京都市は8年前の2007年から「路上喫煙禁止条例」を施行し、四条河原町などの繁華街を皮切りに、多くの観光客が訪れる祇園・清水地域まで、段階的に路上喫煙禁止区域を広げてきた。守らない人には1000円の過料を徴収する「罰則」も設け、2012年には年間7000人もの徴収者がいたという。