7月の参院選は安倍晋三・首相の悲願である「憲法改正」に向け、自民党が圧勝を狙う戦いだ。対する野党は総崩れ状態。唯一、勢いのある日本共産党の志位和夫・委員長が呼び掛けた「国民連合政府」構想も、民主党保守派の激しい反発で頓挫したかに見える。
最大の原因は「共産党」という党名への抵抗感だ。共産党は前回2013年の参院選で約500万票、2014年総選挙では約600万票(いずれも比例代表)を獲得するなど得票も議席も増やしているが、有権者には時代錯誤の「共産主義」に対するアレルギーが根強い。
「共産党と組むというだけで従来の支持者が逃げてしまう。せめて共産主義との決別をはっきり示してくれたら連携しやすくなるのだが」(民主党ベテラン議員)というのが本音だ。
実は共産党支持者からも「大衆党」や「国民党」などイデオロギー色を排した党名に変えてほしいという声があがっている。実際、欧州の共産党には現実路線に転換して党名を変え、「国民政党」へと脱皮したケースが少なくない。ドイツでは東西統一後、共産党メンバーが左派政党に合流、「左翼党」という名で野党第一党となり、イタリア共産党は1990年代に「左翼民主党」と党名を変えて左翼連合「オリーブの木」の一角として政権に加わった。
日本共産党にとって、他の野党が総崩れ状態のいまが国民政党へと脱皮する好機でもある。
「自己犠牲の精神で毎日献身的に『赤旗』を配っている古参党員や指導部は共産党という党名に誇りがある。党名が変わればぞろぞろ古参党員の離党者が出るでしょう」(元共産党中央委員会常任幹部会委員の筆坂秀世氏)といわれているが、若い党員からは「だからこそ党名変更だ」という声が出ている。「書記局の古参の人たちはもう長くない。志位さんも本当は分かっている。あとは決断のタイミングだけ」(党関係者)というのである。