2015年の日本経済は、為替が1ドル=120円台前半を維持し、日経平均が約2000円上昇して2万円台に接近した1年だった。景気は本当に回復しているのか、2016年の経済を左右する諸要素をぐっちーさんこと投資銀行家・山口正洋氏、慶應義塾大学ビジネススクール准教授・小幡績氏、双日総研チーフエコノミスト・吉崎達彦氏らの3人の経済論客が意見を戦わせた。
山口:勘違いしている人もいるけど、今は近年まれに見るほど経済状況がよくなっています。大学を出たばかりの若者が3人で起業して2年で年商10億円稼ぐなんて話はいくらでもある。バブル期にもそんな話はありませんでしたよ。
それこそ5年前でもネットで配信事業をやろうとしたら、携帯各社の仕様に合わせてそれぞれ設備投資しないといけなかったけど、今はスマホで仕様がシンプルだから、起業コストが10分の1くらいまで下がっていて、新たなビジネスが生まれやすい環境にある。
吉崎:東芝やシャープなど大企業は厳しいかもしれないけど、そもそも総合電機が8社なんて今どき多すぎるんですよ。
山口:役目を終えたような業態ばかり見るから日本経済がダメになったみたいな言い方をしますが、今まででは考えられないようなビジネスがいくつもある。ただ2017年4月の消費増税で小売や外食は負担が増えて、従業員を2割カットしないとやっていけないような会社がほとんどです。