日本一売れる小説家と称される一方、度重なる暴言、失言の類いで世の顰蹙を買っている百田尚樹氏。ツイッターが度々炎上したことでも有名だが、そもそも「いらんこと言う性分」なのだという。プロインタビュアーの吉田豪氏が、百田氏に斬り込んだ。
百田:一部で「あの百田っていうのは口は悪いけど、言うてることはおもろい。独特のセンスがある」ということで、ほうぼうで声かかるんですけど、そのうち「あいつだけはたまらん、あんなヤツと一緒に仕事したくない」って言われて。誰にでも「なんでこんなおもろないこと考えるんや!」とか、平気で言うんですから、皆に嫌われる。
──いま実感としてファンとアンチってどれくらいの比率でいると思います?
百田:半々ぐらいじゃないですかね、なんとなく。
──アンチが増えたきっかけってなんだと思います?
百田:昔からいたけど、やっぱり『殉愛』の騒動(*注)が大きかったかな?
【*注:やしきたかじんさんの晩年を書いたノンフィクション『殉愛』の内容をめぐって、やしきさんの長女や元マネージャーと、百田氏サイドの間で訴訟トラブルとなっている】
──そう思います。それまでってそこまで批判が多かった印象がないんですよ。
百田:やっぱり、政治に関してはアンチにしても声を上げることはあんまりなかったですね。実は政治的なことで、ハッキリした自分の主張を持ってる人ってそんなにいないんですよ。大半が、なんとなくみんなが戦争法案反対って言うから反対かな、みたいに、多くがテレビとかそんなのに流される人たちなので。
──『殉愛』は裁判絡みでややこしいことになってるわけですけど、ちょっと面倒なところに首を突っ込んじゃったなとは思います?
百田:私はだいたいやってしまったことをあんまり後悔しないタイプなんです。クヨクヨして事態がよくなるんやったら、なんぼでもクヨクヨしますけど(笑)。大事なことは、今ベストを尽くすことです。それに『殉愛』には嘘は書いていません。いずれ裁判で真実が明らかになるでしょう。