長靴を履き、右手に傘を持った人物が目の前のおぞましい巨大生物を眺めている。雨に濡れてたたずむその生物は、ナメクジだった──。昨年12月25日、神戸連続殺傷事件の犯人・少年Aの「公式ホームページ」が更新された。冒頭のそれは、新たにトップ画面に掲載されたAのイラストだった。
『存在の耐えられない透明さ』。昨年9月、そんなタイトルで突如開設されたAのホームページ。自作イラストや大量のナメクジ写真で世を戦慄させたのは記憶に新しいが、この日の更新では、水色のタイトル文字が雨に流されるように形を崩しつつあった。水のように透明で、揺らぎ、流されてゆく存在。それが自分だとでも言いたいのか。
昨年6月に手記『絶歌』(太田出版)が出版されて6か月あまり。激動ともいえるAの動きを、女性セブンは追い続けた。
7月初旬、Aが長く静岡県浜松市内の小さなアパートで暮らしていたこと、手記出版直前に東京に転居し、直後に彼の自宅付近で猫殺しが頻発したことを報じた。
Aからの手紙が編集部に届いたのは、その翌月のことだった。手紙に遺族への謝罪の言葉は一切なく、手記出版に至るまでの経緯が自分本位に綴られ、ホームページ開設の宣伝文もつけ加えられていた。
9月には、Aが手記出版直前に不正な手法でパスポートを2通取得し、警察からマークされていることも発覚。直後、Aは世間を嘲笑うかのように、月額800円でメールマガジンの配信を始めた。全国紙記者が語る。
「ホームページのメールフォーラムに届いた読者からの質問に答えていく内容でした。しかし、わずか1週間後、配信元となるネット会社からAのアカウントが凍結され、メールマガジンは廃止されました。『規約上の違反があった』というのが表向きの理由ですが、“殺人鬼の金儲けに協力するのか”というクレームが配信会社に殺到し、会社側がすぐに手を打ったというのが現実です」
この間、Aは生活拠点を転々としてきた。前述のように、手記出版直前に東京に引っ越してきたAだが、本誌がそれを報じた直後、都内某所に引っ越し。以後も首都圏内を転々としており、一つの場所に落ち着く気配はない。