私たちは「税金」を国や自治体に納めている。それらは、道路や橋を作ったり、学校の運営費にあてられるなど、さまざまな「住民サービス」として私たちに還元されることになっている。
その中には「助成金」「補助金」「慰労金」「税控除」など、現金で直接配られたり、戻ってきたりするものもある。ところが厄介なのは、それらのお金は自分で申請しないと受け取れないものが多いということ。役所が大々的に宣伝しているわけではないので、気づかずに見逃してしまいがちだが、それではもらえるはずのお金をみすみす損してしまうことになる。
しかも、制度はコロコロと変わる。せっかく得する制度があっても、利用していない人は驚くほど多い。
チャイルドシートの購入や空き家の解体、バリアフリーのリフォームや家族介護の慰労金など、「えっ? そんなものにまでお金が出るの?」と驚くほど多様なメニューがあることがわかる。
「2016年は参院選挙が行われるので、政治家は人気取りのために、“バラ撒き制度”をたくさん作るはずです。低所得の年金受給者に3万円ずつ配るのはその象徴でしょう。逆に、夏に選挙が行われるまでがチャンスといってもいい」(経済ジャーナリストの荻原博子さん)
例えば、少子高齢化が進む一方の日本社会。なんとか子供の数を増やして活気ある国や地域にするため、国や自治体は子育て世帯向けにさまざまな補助金制度を用意している。
「地域を活性化させたい東京・新宿区の『子育てファミリー世帯居住支援』には、区外から区内の民間賃貸住宅に住み替える場合、契約時の礼金や仲介手数料を合計で最大36万円、引っ越し代の実費のうち、最大20万円がもらえる転入助成があります」(前出・荻原さん)
子供が生まれた際の「祝い金」を充実させているのは、福島県矢祭町。第1子と第2子誕生時にはそれぞれ10万円、第3子が生まれたら50万円、第4子なら100万円、さらに第5子以降は150万円ももらえる。そのうえ第3子以降は、2才から11才までの間、毎年5万円(合計50万円)の「健全育成奨励金」が支給されるというから、子だくさんの家庭は大助かりだ。