新しい年は、従来の「国家」の枠組みが激変し、波乱の年となるのではないか。いまや世界のあちこちで「国境線」が溶け始め、世界秩序が崩壊しつつある。世界秩序激変の震源地となっているのがIS(イスラム国)だ。
ISの拠点であるシリア・イラクには、世界から国境を越えて約2万人が結集し、戦闘員となっている。ISは両国内で「州」を設置し、世界各地のイスラム過激派はISへの忠誠を表明してISの「州(支部)」を自称しはじめた。
以下がアル・カイダとISの相違である。
●アル・カイダ
【指導者】オサマ・ビン・ラディン亡き後は、アイマン・ムハンメド・ラビ・アル・ザワヒリ(1951年6月19日生まれ)
【教義】厳格なイスラム原理主義。スンニ派
【目的】反米グローバル・ジハード
【組織】ビン・ラディンのカリスマ性に頼る個別のテロ組織のネットワーク
【財源】支持者からの寄進、身代金
【司令部(首都)】パシュトニスタンの山中(アフガニスタンとパキスタンの国境地域)
【戦闘員の待遇】無報酬の義勇兵
【特徴】世界各地にテロ訓練センターを設置
●IS(イスラム国)
【指導者】アブー・ムサブ・ザルカウィ亡き後、3代目のアブー・バクル・アル・バグダディ(1971年7月28日生まれ)
【教義】イスラム原理主義を逸脱した過激思想。スンニ派。奴隷制度を復活
【目的】カリフ制イスラム国家の樹立
【組織】アル・カイダ系組織に旧フセイン政権の高官・軍人が合流して集団指導
【財源】住民から徴税、原油や骨董品の密売
【司令部(首都)】シリア・ラッカ
【戦闘員の待遇】月50ドルほどの有給
【特徴】ネットなどSNSを活用して宣伝