過当競争が続くコンビニエンスストア業界だが、首位のセブン―イレブンは2016年度に6年連続で過去最多を更新する1800店舗の出店を計画しているという。昨年12月末時点のセブンの国内店舗数は1万8249店なので、空前の2万店越えも視野に入ってきた。
日本フランチャイズチェーン協会によれば、コンビニ大手10社の総店舗数は、昨年11月時点で5万3309店。そのうち8割近くをセブンとローソン(1万2276店/2015年2月末時点)、ファミリーマート(1万1499店/2015年12月31日時点)の大手3社が占める。(※個別店舗数は各社HPより)
コンビニ業界は長らく“5万店頭打ち説”が指摘されてきたが、セブンの勢いを見る限り、なお「伸び代」があるということなのか。
業界紙『コンビニエンスストア速報』編集長の清水俊照氏は、こう分析する。
「旧来型のコンビニだったら、とっくに飽和状態になっていたでしょうが、近年は淹れたてコーヒーやドーナツの販売など他業態の客をも取り込む新商品、それに銀行ATMや証明書発行などのサービスも充実しているので、新規出店に対する需要は衰えていません」
いまや、人口の多い三大都市圏では半径150メートル以内に大手コンビニが10店以上密集することも珍しくない。これ以上コンビニが増えれば、1店舗あたりの1日平均売り上げ(日販)が近隣店舗と食い合ってしまう懸念も生じる。
現在、セブンは2位のローソンに10万円以上の差をつける約66万円の日販を誇るが、チェーン規模の拡大が、かえって既存店の売り上げを落とす結果にならないのか。
「フランチャイズ経営のコンビニは、各店オーナーの取り分も確保しなければならないので、一定金額以上を売り上げなければ採算が取れません。
ただ、セブンといえども単純に店を出し続けているわけではなく、商圏の変化に合わせて“立地移転”するなどスクラップ&ビルドを繰り返しながら、各店の売り上げ水準アップを目指しています」(前出・清水氏)