では、なぜ日銀は「マイナス金利」政策をとるのか。これまで民間銀行は、余ったお金を日銀に預けることで利息を受け取ってきたが、マイナス金利になると利子を払わなければならずに損をする。だから日銀には預けず、積極的にお金を民間企業に貸し出すようになる。すると、経済が活性化して景気が回復する──日銀の説明はこうだ。エコノミストの中原圭介さんが説明する。
「マイナス金利の本当の狙いは『円安』にすることです。いっそうの低金利が進むことで通貨の魅力が損なわれるので、価値が下がります。円安になると、日本の輸出企業が潤って株価が上がります」
株価が上がることは企業や投資家にとってはうれしいことだ。政府も「景気がよくなっている」と胸を張れる。
その一方で、株に投資していない人にとっては迷惑千万な話でしかない。円安になれば小麦、牛肉、チーズやワインなど輸入食品の価格が上がるので食費が高くなる。日本はエネルギー資源の大半を輸入に頼っているので電気代がアップする。海外のブランド品はもちろん高くなるし、海外旅行の費用も上がる──デメリットが多いのだ。
※女性セブン2016年2月18日号