「救えなかった……」──2月2日の深夜、逮捕の一報を聞いたA氏は、本誌記者の前で項垂(うなだ)れた。同日午後8時48分頃、東京・港区の自宅マンションで覚せい剤0.1グラムを所持していたとして、元プロ野球選手の清原和博容疑者(48)が現行犯逮捕された。A氏は、清原のために昨秋結成された友人らによる“更生支援チーム”のメンバーだ。
警視庁で薬物事件を担当する組織犯罪対策5課が捜査を開始したのは2年近く前からだった。捜査関係者が言う。
「昨年の夏頃から本格的な内偵捜査に取りかかり、ほぼ24時間態勢で清原の行動を監視してきた。薬物を所持していなくても、売人の証言や過去の購入履歴などの証拠があれば、麻薬特例法違反で逮捕はできた。
しかし、それでは不起訴処分になる可能性もある。今回、警視庁が時間をかけて現物所持での現行犯逮捕にこだわったのは、必ず起訴するという意志の表われです」
警察の捜査が進み始めた頃、このチームも彼の“異変”に気づいていた。
「直接は聞けないけど、もしかしたらクスリに手を出しているのかも、と不審に思う瞬間はあった。“絶対にやらせない”という思いで、キヨのサポートをしようと団結したのです」(A氏)
いわば私設の“更生支援チーム”の結成だった。逮捕の2日前も清原は彼らの輪の中にいたという。チームの1人が言う。
「日曜日の夜も、メンバーと鍋を囲んでいた。清原さんはいつもと変わらない様子だったけど、皆と別れた後から連絡が途絶えていた。逮捕されたと聞いて、メンバーは裏切られたという思いを持つ一方で、救えなかった歯がゆさも感じていました」
支援チームのメンバーたちは、これ以前にも清原を心配し続けていた。2014年3月に『週刊文春』が清原の薬物疑惑を報じて以降、清原の仕事は激減。さらに同年9月、亜希夫人と離婚し、子供の親権も失った。
A氏が当時を振り返る。「身も心もボロボロになり“孤独が恐い”“死にたい”と周囲に漏らすようになっていた」