「ポテトチップス」や「かっぱえびせん」などスナック菓子の製造・販売で成長してきたカルビー。「モノを売ることとケンカが大好き」と語る松本晃氏が会長兼CEO(最高経営責任者)に就任して以降は6期連続で最高益を叩き出した。元商社マンの「あきんど会長」に作家の杉山隆男氏が迫った。
松本:7年前、このカルビーにきたとき、僕はあえて戦いをつくったんですよ。ここはいい会社ですよ。しかし、戦う気がまったくないの。もともとカルビーはスナック菓子で他の追随を許さないほどの1番でしたが、2番の会社が着々とシェアを上げてきて、その差が縮まっていたんですよ。カルビーが5なら、2番手は1だったのが、私がきたときは、それが3対1になっていた。ところが、社員はのんびりしてるわけですよ。もうウサギとカメ以上に。
──ある意味、殿様商売だと。
松本:そうですね。放っておいたら、今ごろどうなっていたか。だから私は、(やられる前に)差をつけろと言いました。
──社員の反応はあまりよくなかったのでは。
松本:いや、そんなことはないですよ。カルビーの人たちは素直ですよ。私はこの会社で、スローなことには、「遅い! 何しているんだ」と怒りますけど、カルビーには面従腹背とかはない。素直なんですよ。だから、私が言ったことは、みんなわかってくれました。
──松本さんはこれまで伊藤忠での商社ビジネスを皮切りに、39歳で伊藤忠子会社の医療機器の輸入代理店へ出向、外資のジョンソン・エンド・ジョンソンの日本法人、カルビーと、さまざまな業態の会社でリーダーシップをとられてきたわけですけど、仕事や商品が変わっても、会社というものの根本は変わらないんでしょうか。
松本:そう、たくさん売って、たくさん儲けて、たくさん使って、たくさん残したらいいんですよ。お金を使うというのは投資という意味です。無駄遣いは大嫌いですけど、投資をしないと会社は成長しません。
──会社のどんな部分に使うんですか。
松本:一番使わないといけないのは人件費、社員に給料をもっと払えと。設備投資をするより、大事な投資っていうのは人なんだと。それに投資しなくてどうするんだと。