国内

日本から暴力団が消滅する状況はいかなる時なのか?

 過激な抗争が懸念され、実際に全国各所で抗争が勃発している。山口組分裂から約半年、「六代目山口組」と「神戸山口組」の衝突が急速に激化するなか、ついに警察は殺し合いを待たずに「抗争」と認定した。かつて抗争に乗じて「頂上作戦」と呼ばれる暴力団壊滅作戦を指揮してきた警察は、いま新たな勝負に打って出た。フリーライター・鈴木智彦氏が指摘する。

 * * *
 実をいえば暴力団員の暴力性に、そう大きな組織差はない。どの組織もいざとなれば相手を殺害するだけの凶暴さを持っている。どこに違いが生まれるかといえば、トップの腹のくくり方である。

 自分の人生を捨ててもそれに対する十分な見返りがあると判断できれば……たとえば家族の面倒をしっかりみてくれるという確証が得られれば、捨て身になる暴力団組員はどこにでもいる。

 腹の据わったトップの存在が、若い衆を屈強な軍隊に変貌させる。だから警察は遮二無二トップの検挙を狙う。法解釈をねじ曲げても、トップに打撃を与えれば、暴力性が薄まることを承知している。

◆「特定抗争指定」という槍

 また警察には改正暴対法による「特定抗争指定」というロンギヌスの槍を持っている。イエス・キリストの脇腹を貫いた聖なる槍同様、新設されたこの条項は暴力団組織に対するとどめの一撃になり得る。

 長期化した九州・道仁会の内部抗争を押さえ込むため、2012年の法改正で暴対法に新設された「特定抗争指定」を受けると、公安委員会が定める警戒区域内で暴力団の行動は大きく制限される。

 神戸山口組が指定暴力団となり、特定抗争指定になれば、組員らは両組織の本部及び、傘下団体すべての拠点に、掃除で立ち寄ることさえ出来なくなる。さらに対立する暴力団員への付きまとい、相手組織の居宅周辺をうろつくことも出来ない。仲間内で5人以上集まれば即逮捕だ。

 なぜこれがとどめの一撃になるかといえば、現在の暴力団の結束力が弱いからだ。

関連記事

トピックス

佳子さまと愛子さま(時事通信フォト)
「投稿範囲については検討中です」愛子さま、佳子さま人気でフォロワー急拡大“宮内庁のSNS展開”の今後 インスタに続きYouTubeチャンネルも開設、広報予算は10倍増
NEWSポストセブン
「岡田ゆい」の名義で活動していた女性
《成人向け動画配信で7800万円脱税》40歳女性被告は「夫と離婚してホテル暮らし」…それでも配信業をやめられない理由「事件後も月収600万円」
NEWSポストセブン
大型特番に次々と出演する明石家さんま
《大型特番の切り札で連続出演》明石家さんまの現在地 日テレ“春のキーマン”に指名、今年70歳でもオファー続く理由
NEWSポストセブン
NewJeans「活動休止」の背景とは(時事通信フォト)
NewJeansはなぜ「活動休止」に追い込まれたのか? 弁護士が語る韓国芸能事務所の「解除できない契約」と日韓での違い
週刊ポスト
昨年10月の近畿大会1回戦で滋賀学園に敗れ、6年ぶりに選抜出場を逃した大阪桐蔭ナイン(産経新聞社)
大阪桐蔭「一強」時代についに“翳り”が? 激戦区でライバルの大阪学院・辻盛監督、履正社の岡田元監督の評価「正直、怖さはないです」「これまで頭を越えていた打球が捕られたりも」
NEWSポストセブン
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん(Instagramより)
《美女インフルエンサーが血まみれで発見》家族が「“性奴隷”にされた」可能性を危惧するドバイ“人身売買パーティー”とは「女性の口に排泄」「約750万円の高額報酬」
NEWSポストセブン
現在はニューヨークで生活を送る眞子さん
「サイズ選びにはちょっと違和感が…」小室眞子さん、渡米前後のファッションに大きな変化“ゆったりすぎるコート”を選んだ心変わり
NEWSポストセブン
悠仁さまの通学手段はどうなるのか(時事通信フォト)
《悠仁さまが筑波大学に入学》宮内庁が購入予定の新公用車について「悠仁親王殿下の御用に供するためのものではありません」と全否定する事情
週刊ポスト
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”の女子プロ2人が並んで映ったポスターで関係者ザワザワ…「気が気じゃない」事態に
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・Instagramより 写真は当該の店舗ではありません)
味噌汁混入のネズミは「加熱されていない」とすき家が発表 カタラーゼ検査で調査 「ネズミは熱に敏感」とも説明
NEWSポストセブン
船体の色と合わせて、ブルーのスーツで進水式に臨まれた(2025年3月、神奈川県横浜市 写真/JMPA)
愛子さま 海外のプリンセスたちからオファー殺到のなか、日本赤十字社で「渾身の初仕事」が完了 担当する情報誌が発行される
女性セブン
昨年不倫問題が報じられた柏原明日架(時事通信フォト)
【トリプルボギー不倫だけじゃない】不倫騒動相次ぐ女子ゴルフ 接点は「プロアマ」、ランキング下位選手にとってはスポンサーに自分を売り込む貴重な機会の側面も
週刊ポスト