力士の奥さんは皆、便宜上「おかみさん」といわれるが、力士たちの間でのおかみさんは、部屋持ちの師匠の妻のことを指す。弟子の生活指導から部屋の広報対応、経理業務までこなし、その仕事は膨大かつ重要だ。
まさに角界を縁の下で支えるスーパーウーマンともいうべき、おかみさんたちの素顔はどのようなものか。相撲を取材すること40年超の本誌が徹底調査。相撲と絡め、本邦初「おかみさん番付」を作成した。考課項目は以下の5点だ。
まずは「部屋所属力士の成績」だ(昨年1年間と今年の初場所の7場所分)。力士が勝てるのは親方のみならずおかみさんの部屋運営が成功している証左でもある。
次は「部屋の所帯の大きさ」。人数が多い部屋はそれだけ勢力があり、いい弟子が集まりやすいうえ、それだけおかみさんの切り盛りが上手だといえる。後援会組織が充実しているということでもある。
そしておかみさんは1人の力士の妻である。「親方自身の戦績」も重要だろう。現役時代の夫をいかに支え、出世させたか。部屋を持ってからも、その内助の功はモノをいうはずだ。
さらに「女将さんの経歴」にも注目したい。かつておかみさんになる女性として多かったのは、料亭や旅館、相撲茶屋関係者の娘だった。家族や本人が、おかみさんの激務を理解していたからだ(同じ理由でタニマチや親方の娘というケースも多かった)。しかし現在は自由恋愛が多い。本人の能力を測るには婚前の経歴も参考にすべきだろう。
最後に「美貌」を中心とした角界での評判や、マスコミへの登場頻度など。これについては相撲の番記者や後援会関係者、協会関係者らの意見を元に検討した。
これらの総合評価点が高い順に、本誌が独自に番付を組んだ。お断わりしておくが、本誌の独断と偏見に基づくものですので、あらかじめご了承ください。
東の横綱に輝いたのは、伊勢ヶ濱部屋(元横綱・旭富士)おかみさんの淳子さん。横綱・日馬富士、大関・照ノ富士、幕内・安美錦など関取5人を含む26人を擁する大所帯で、昨年初場所から2回の優勝と4回の三賞を獲得してきた。
親方とは大関時代に結婚。旭富士は横綱に昇進、引退後に独立して安治川部屋を開く。その後伊勢ヶ濱名跡を取得。現在は協会理事としての重責を担う。
「淳子さんは、元・春日山親方(元前頭・大昇)の姪。出稽古に行った際、淳子さんに旭富士が一目惚れしたそうです。白百合女子大出身で、当時は銀座の画廊に勤務していた。日馬富士や照ノ富士の昇進伝達式での口上も、おかみさんが考えたといわれています」(後援会関係者)