今年4月の放送開始から好調をキープし続けているNHK連続テレビ小説『あさが来た』。初週から24週連続で20%の高視聴率を記録。放送終了を前に、「あさロス」を心配する声も出始めている。これだけ人を惹きつけてやまないのはいったいなぜか? テレビ解説者の木村隆志さんが分析する。
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いよいよ残り一週間。このまま視聴率・評判ともに絶好調のままフィナーレを迎えられそうな理由として、「女性の自立を切り拓くヒロイン」「タイプの異なるイケメンを次々に投入」などが挙げられています。
それらが重要なポイントだったことは間違いありませんが、もう1つ大きかったのは、多彩な恋愛模様。あさ(波瑠)と新次郎(玉木宏)の互いを受け入れるしなやかな愛、はつ(宮崎あおい)と惣兵衛(柄本佑)の時間をかけて育む愛、うめ(友近)と雁助(山内圭哉)の心の奥で深くつながる愛、ふゆ(清原果耶)と亀助(三宅弘城)の思われる幸せに気づく愛、千代(小芝風花)と啓介(工藤阿須加)の若者らしく初々しい愛など、さまざまな愛の形が描かれてきました。
そして、視聴者の心を大きく揺さぶったのは、五代友厚(ディーン・フジオカ)があさに抱いた絶対に叶わない愛。五代はあさが幼いころから好意を持ち続け、何度も助けてきましたが、大久保利通(柏原収史)の死にショックを受け、思い余って抱きしめてしまうシーンがドキドキと切なさを誘いました。
さらに、この時代らしい“良妻賢母”としての愛をしっかり描いていたのも印象的です。あさの父母である梨江(寺島しのぶ)と忠興(升毅)、あさの義父母であるよの(風吹ジュン)と正吉(近藤正臣)、あさの義弟夫婦であるさち(柳生みゆ)と榮三郎(桐山照史)、炭鉱のカズ(富田靖子)と次郎作(山崎銀之丞)。どの妻も献身的に夫を支える姿で、いかにも朝ドラらしい古き良き日本の夫婦愛を表現していました。
女優たちの好演も見逃せません。終盤で千代役の小芝風花さんが、出会いにときめき、失恋に落ち込み、再会にうれしさを隠しきれないなどのクルクル変わる表情で視聴者を魅了したように、女優たちがそれぞれの愛を伸び伸びと演じていました。