知日派のクライド・プレストウィッツ氏(米経済戦略研究所所長)が「2050年の日本」は新型の超大国として繁栄すると予測した書『JAPAN RESTORED(日本復興)』を出版し話題となっている。その中で、2050年に日本は「平均寿命90歳以上」や「総人口1億5000万人」など日本の底力を称えつつ、我々が克服すべき数々の課題を突きつけた。評論家・日下公人氏がその課題の一つ、出生率について提言する。
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プレストウィッツ氏は「出生率が2.3となり、総人口が1億5000万人になる」という点を課題に挙げている。
私は、出生率についてはいずれ昔の水準に自然に戻ると考えている。というのは、日本ほど子供を可愛がり、大事に育てる国はないからだ。日本人は子供を「何にも代えがたい宝」と考えている。それは日本の文明・文化をよく見れば分かる。
たとえば「七五三」は、乳幼児死亡率が高かった時代に「よくぞここまで生きた」とわが子の成長を祝ったことが起源とされるが、世界にこんな国はないだろう。
いささか情緒的な話になってしまったが、事実この1000年間、戦争で人口が一時的に減ったことはあったものの、日本は一貫して人口が増えてきた。少子化が叫ばれるようになったのは、ここ十数年のことなのだ。厚生労働省が何を言おうが、学者が何を言おうが、あまり神経質になる必要はないのではないか。
とは言え、未来の日本を背負う若い世代が子作り、子育てに漫然とした不安を抱いているのは事実であろう。グローバル時代を迎え、「子供が世界で活躍するために高度な教育を受けさせなければいけない、それにはお金がかかる」などと思い込まされているからだ。
そこで、若者たちの経済的プレッシャーを払拭するための提案がある。