本誌は前号(4月15日号)で「最速の市民ランナー」川内優輝(29)が「青学・原監督はマラソンを語るな!」と激白する記事を掲載した。原監督が2月28日の東京マラソン後に、日本勢2位に入った青学大の下田裕太(20)をリオ五輪代表にすべきだとした発言に川内が“待った”をかけたのだ。
「将来性など不確実な要素で五輪選手を選ぶのはどうか。原監督は結果を出した駅伝については語っていいが、マラソンについてはまだ早い」
これに対し原監督に取材を申し込むと、「川内選手に会ったことはないけど、私は全然怒っていませんよ」(以下「」は原監督の発言)と返答するも、
「駅伝もマラソンも陸上競技の一種なんだから、駅伝監督だからって『何もしゃべるな』というのはおかしな話でしょう」
「私が選手をマラソンに挑戦させたのは、それが従来とは違う取り組みだったからです。(中略)どの世界でも今の常識が将来の非常識になるんです」
と持論を述べた。
「古い常識」に否定的な原監督は、今の日本マラソン界の現状に厳しい視線を向ける。
「マラソン全盛期といわれた瀬古さん、宗兄弟の時代から30年も経っているのに、タイムは伸びていません。日本記録保持者の高岡(寿成)くんの記録がいまだに破られていない。
日本のマラソンは停滞している、止まっているわけ。そのなかに我々の取り組みがあり、学生が若くしてマラソンにチャレンジする流れを作ったという点で、今回は停滞する日本のマラソンに一石を投じられた。それは成功だったんじゃないかと思います」
自らが動くことで「日本のマラソンを変えなければならない」という強い思いが伝わってくる。