東京都心のマンション市場はバブル化している。中には、あの平成バブルの価格を超える現象も起き始めた。こういう時代、普通のサラリーマンはマンション購入を諦めるべきなのか? それとも、じっと下落期を待つべきなのか? 住宅ジャーナリストの榊淳司氏がアドバイスする。
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今回のバブル、前2回とは違う大きな特徴がある。それは、あの平成バブルを超えるほどの値上がり現象が見られるのは、ほんの一部の地域だけなのだ。それも、富裕層や外国人が買いたがる都心の人気エリアがバブル化しているだけであって、郊外はもちろん地方都市でもバブルというほど値上がりしているところは僅少。
私は今回のこの現象を「局地バブル」と呼んでいる。都心エリア以外でも、新築マンションの価格は概ね値上がり傾向にある。というのは、ここ5年ほどの間に建築コストが急上昇し、高止まり状態にあるからだ。
東北地方の復興事業がトリガーを引いたのだが、それ以前にも建築現場では慢性的な人手不足に陥っていた。それが建築コストに跳ね返り、結果的に新築マンションの価格も押し上げたのだ。
しかし、すべての地域で建築コストの値上がり分が価格転嫁されているわけではない。中には需要が限られているのにも関わらず、それを大幅に上回る物件数が供給されたことで、激しい競合が巻き起こっているエリアもある。
そういう市場では、往々にして価格競争になるので建築コストが価格に転嫁されていないように思える。つまり、普通のサラリーマンでも「手が届く」価格帯で新築マンションが販売されているのだ。
具体的に、どこがそういうエリアなのか、ここで紹介したい。まず、首都圏では神奈川県川崎市の川崎区。
このエリアは、大規模マンションに適した土地が出やすい。だから、近年は200戸以上の規模を誇る大規模マンションが数多く供給された。今も、完成したのに完売していない大規模マンションが複数販売中である。
具体的な物件名を挙げると「マークウィング川崎」、「グレーシアシティ川崎大師河原」、「リヴァリエ」などだ。〈3LDK、2980万円から〉といった住戸も販売中だ。
リヴァリエは首都圏で購入できるタワーマンションの中では、最もリーズナブルな価格設定ではなかろうか。同じ川崎市内でもバブル現象が見られる武蔵小杉駅前エリアで販売中のタワーマンションと比べると、半額程度で買える住戸もある。
東京23区内では、板橋区の三田線沿線。このエリアも長年にわたり供給過剰が続いたことで、市場が希薄化している。地元から需要が湧いてこないのだ。そうなると、最終的には価格的な魅力で他エリアからの集客を呼び込むしかない。