視聴率も好調のNHK大河ドラマ『真田丸』。草刈正雄が演じる真田昌幸の魅力的なキャラクターなどが話題となっているが、登場人物の「末裔」たちを訪ね歩くと、先祖に負けず劣らずユニークな人物がいた。
「徳川家康に知略をもって重用されたといいますか、権謀術策の泥をかぶったのが我が祖先の本多正信です。近藤正臣さん演じる『真田丸』での役回りは、イメージ通りだと思います」
そう語るのは本多正信の次男・本多政重を初代とする加賀本多家の15代目当主、本多政光氏(69)だ。
「2011年の『江~姫たちの戦国~』では正信公を草刈正雄さんが演じていました。それを含め以前は“胡散臭いおじいさん”という演じられ方が多く、おかげで正信公のイメージは良くなかったんですよ(笑い)」
金沢生まれの政光氏は学習院大学を卒業後、住友海上(現・三井住友海上)に入社。横浜支店長などを歴任した。現在は本多家に伝わる1000にも及ぶ調度品を展示した「加賀本多博物館」(石川県金沢市)の館長を務める。
「父も私もサラリーマンで、現役時代は転勤族でした。前の赴任地から噂が流れるのか、全国どこに行こうが、なぜかすぐに素性がバレてしまうんです。そういう意味では本多家の末裔であることを幼いころから意識していました」
当主として、跡継ぎのことも気にかけている。
「娘3人なので、長女が婿養子を迎えて本多姓を名乗ってくれています。この娘婿、つまり16代目は大学准教授で歴史の研究している。本多家にはまだまだ多くの未整理の文書などが残っているので、婿殿の存在は心強い限りです」
徳川家を支えた「本多」としては、本多忠勝(藤岡弘、)もいる。
「同じ本多姓ですから忠勝との関係をよく聞かれます。それで系図をたどって調べてもらったことがあるんです。すると忠勝・正信から5~6代ほど前のところで本多が2つの家に分かれていたんです。智将の正信と猛将の忠勝。キャラクターは正反対なのに血は同根なんですよね」(本多政光氏)
※週刊ポスト2016年5月6・13日号