政治は女性たちの声にどう応えるのか──。7月の参議院議員選挙を前に、憲法改正、安保法、そして待機児童問題など、生活と命にかかわる喫緊の課題が山積みだ。そこで、「女性宰相にもっとも近い」といわれる自民党の政調会長・稲田朋美議員(57才)を直撃した。
──安倍首相は「女性が輝く社会」を提唱している。女性は等しく「外で働け」と「キャリアを目指せ」と言われているようで戸惑う声も多い。
稲田:女性の活躍は第二次安倍政権の中心政策です。誤解されがちですが、私たちは“女性は外で働け”“専業主婦には価値がない”と主張しているのではなく、多くの選択肢のなかで各々が輝く社会を目指しています。第二次安倍政権で90万人の女性が、社会進出しましたが、非正規で待遇に恵まれないケースも多く、労働環境も改善したい。
── 一方で待機児童問題では、働きたくても働けない女性を生んでいる。大きなうねりを生んだ、「保育園落ちた日本死ね!!!」のブログは政治への絶望を表明したもの。なぜ政治はこれまで切実な声を受け止められなかった?
稲田:表現はきついですが「日本死ね!!!」と絶望する気持ちはよくわかります。認可保育園は保育料が安く環境もよいけど、認可外は高い上に環境が認可に比べるとよくないところもあります。しかも、ポイント制のため保護者側が自分の希望するところに子供を預けられるとは限らない。政治が一刻も早く解消すべき問題だと思っています。
どうしても党本部のなかにいるとそうした声が届きにくいのは反省点です。今後は声なき声をすくい上げる仕組みを作ろうと思います。私自身、夫も弁護士で子供が生まれる直前に独立したので時間的にも融通が利きました。夫婦とも会社員だと子育てはとても大変です。
──女性の活躍を促す一方、稲田議員は、かねてより選択的夫婦別姓に反対している。矛盾しているようにも感じるが?
稲田:確かに女性が社会進出するほど旧姓を使うべき場面は増えます。ただ、家の中で両親と子供は同じ名前が望ましい。子供は選べませんしね。私たちは女性が望めば通称を使える社会を目指しています。
──稲田議員自身は、苗字を変える“痛み”はなかった?