長らく「定価販売」を主軸としたビジネスモデルで成長してきたコンビニエンスストアだが、ここにきて「値下げ」の動きが広がっている。
ローソンは飲料や調味料、洗剤など約90品目を「キーバリューアイテム(KVI)」に定め、6月末までに全店舗数の75%にあたる9000店で地域ごとに異なる価格設定をしていくという。つまり同じ商品でも近隣にある食品スーパーやドラッグストアとの価格差が大きい店ならば、値下げ販売も辞さず──というわけだ。
すでに近年の大手コンビニチェーンでは、独自のポイントカードや電子マネーによるキャンペーン商品の実質値下げや、PB(自主企画)商品による割安な価格設定、その他、レジ前で売れ残り商品を安売りするなど、定価販売の原則は崩れつつあった。
それでも多くの品で定価販売を続けているのは、コンビニが本部と各店舗オーナーによるフランチャイズ(FC)契約によって成り立ってきた業態だからである。
「コンビニ経営は、店の売り上げから商品の仕入れ原価を引いた『粗利益』を本部とFCオーナーで分け合う。大手チェーンになると粗利の40%前後をロイヤルティーとして本部に納める仕組みになっている。
オーナーは残った“分け前”から店の人件費や光熱費、商品の廃棄ロスの負担など、あらゆる経費を差し引くので、最終的にオーナーの懐に入る利益は総売り上げの5%以下になる。そんな状況では、利幅を減らしてまで数を売らなければならない低価格戦略は取りにくかった」(経済誌記者)
だが、本部へのロイヤリティー比率については、各チェーンとも徐々に低下させる傾向にある。また、商品の価格政策についても、これまではすべて本部主導で決められてきたものを、一部オーナーの裁量に委ねる方針になりつつあるという。
なぜ、コンビニのビジネスモデルに変化が生じているのか。流通アナリストでプリモリサーチジャパン代表の鈴木孝之氏が解説する。